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大石始のマツリ・フューチャリズム【21】

エンタメ性を高め生き残ってきた石見神楽――進化を続ける伝統祭がEXILEとコラボ

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――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!

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昨年行われた石見神楽の公演情報。あくまで伝統的な大蛇に重きを置き、「EXILEが出演するよ!」と安易にエンタメ性を煽らない作りに好感が持てる。

 2014年9月から12月にかけて、全国6都市でEXILEのドームツアー『EXILE TRIBE PERFECT YEAR 2014』が開催された。その際、一部の祭り関係者がザワついたことをご存じの方はあまり多くないだろう。というのも、このツアーでEXILEは島根県の伝統芸能、石見神楽とのコラボレーションを披露したからだ。それも、いわゆる取って付けたようなお気軽な共演などではなく、EXILEのスクール「EXPG」のメンバーが、同県浜田市内で2週間にわたって専門的な指導を受けたほか、石見神楽の現地関係者がドームツアーに関わるなど、極めて本格的なコラボが繰り広げられたのである。

 石見神楽とは浜田市を中心とする島根県西部、石見地方と広島県北西部に伝わる伝統芸能。日本神話などを題材とし、もともとは神社で神事として奉納されるものだった。現在は、神社以外のさまざまな場所で定期公演が開催されており、島根県西部~広島県北西部で、実に100以上もの神楽団体が活動している。

 石見神楽の演目は30種類以上にのぼるが、中でも代表的な演目が「大蛇」。クライマックスは巨大な大蛇とスサノオの対決シーンで、団体によっては大蛇の口から火を噴かせることもあれば、発光ダイオードを仕込んだ大蛇の目をギラリと光らせる演出などもある。

 筆者も現地で何度か石見神楽を見る機会に恵まれたが、まるでロック・コンサートのように舞台上をスモークが漂う中、巨大な大蛇がウネりながら火を噴く光景は迫力満点。もはや神事というよりも地域のエンターテインメントといった雰囲気である。神楽は日本各地でさまざまな様式で継承されているが、エンタメ性では石見神楽が群を抜いている。

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