人気劇団・ヨーロッパ企画を主宰する上田誠が満を持して監督デビューを果たした映画『君は映画』で、井之脇海とW主演を務める伊藤万理華。ドラマ、舞台とヨーロッパ企画と縁が続き、ファミリーのような居心地の良さを感じるという彼女に、これまでの交流や下北沢を舞台にした『君は映画』の撮影エピソードを中心に話を聞いた。
(写真/川内章弘(CUBISM.INC))
――今回、井之脇海さんとともにW主演を務める映画『君は映画』は、ヨーロッパ企画を主宰する上田誠さんの監督デビュー作になります。
伊藤万理華(以下、伊藤) ヨーロッパ企画さんとのご縁は3度目ですが、最初はドラマ『時をかけるな、恋人たち』(23/関西テレビ)(以下、『時かけ』)の脚本が上田さんで、劇団メンバーの石田剛太さんと共演しました。初めてヨーロッパ企画さんと本格的にお仕事をさせていただいたのは、去年出演した主演舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』(以下、『リプリー』)です。稽古期間を経て、メンバーの皆さんとの仲が深まってきた東京公演中に、上田さんが映画を撮るらしい、という話を小耳に挟みました。
実際に出演させていただくことが決まり、ヨーロッパ企画さんにファミリーのような居心地の良さを感じていたので、ご縁が途切れず、映画でもご一緒できることがうれしかったです。
――初めて上田さんとお話したときのことは覚えていますか。
伊藤 『時かけ』の撮影現場に上田さんがいらっしゃって、そのときに初めてお話したのですが、すごく盛り上がりました。上田さんは私が乃木坂46に在籍していた頃から知ってくださっていて、その頃の歌がお好きだったそうで。『リプリー』で歌唱シーンがたくさんあったのは、それが関係しているのだろうなと後から見えてくる部分もありました。今回の映画もそうですが、昔から私に注目し、肯定もしてくださっていて。それを再構築といいますか、上田さんの色が加わって新しい私をお見せできる喜びもあります。
――オファーの時点で映画の内容は決まっていたのでしょうか。
伊藤万理華(いとう・まりか)1996年2月20日生まれ。大阪府出身。元乃木坂46の1期生メンバー。グループ卒業後の初主演映画『サマーフィルムにのって』(21)でTAMA映画祭最優秀新進女優賞、日本映画批評家大賞新人女優賞を受賞。主な出演作品に、舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』(25/主演)、ドラマ『パーセント』(24/主演)、『いつか、無重力の宙(そら)で』(25)、『ミッドナイトタクシー』(26)、映画『チャチャ』(24/主演)、『架空の犬と嘘をつく猫』 (26)など。
伊藤 決まっていませんでした。「脚本はもう書いているんですか?」とお聞きしたら、「まだ書いてない」と(笑)。ただ、上田さんの中に大体のプランはあったのだと思います。そこに自分が入れたのは幸運でした。しかも上田さんの脚本だけではなく、初監督となる作品に携われることもうれしかったです。全力で挑もうと思いました。
――初めて『君は映画』の脚本を読んだときの印象はいかがでしたか。
伊藤 『リプリー』のときもそうだったのですが、「こんなに面白いなんてどうしよう!」と興奮し、読みながら何度も笑いました。今回もすごい脚本だと思うと同時に、どうやって撮るのだろうという期待感がありました。
――完成した作品は、映像ならではの様々な工夫が随所に凝らされていますが、脚本から感じ取ることはできましたか?
◉今なお“カルチャーの聖地”に君臨伊藤万理華が語る下北沢の魅力
下北沢から三軒茶屋にかけては飲食店が充実していますし、面白いお店がたくさんありますよね。
舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』の東京公演も下北沢にある本多劇場での上演だったので、ヨーロッパ企画の方々と近場のご飯屋さんに行きました。稽古以外でもコミュニケーションを取らせていただいたおかげで皆さんと仲良くなれたので、とても思い入れのある場所です。『君は映画』ではトリウッドをはじめ、下北沢の街に入り込み、すっかり下北沢を牛耳ったような気分です(笑)。
下北沢は歴史のある小劇場がたくさん残っている一方で、新しいミニシアターができるなど、新旧のカルチャーが混在していて。いつの時代も若い方々に人気ですが、幅広い世代も楽しめる街。駅周辺は今風で綺麗になりましたが、周辺には古い建物やお店が残っていて、そのバランスが絶妙です。