サイゾーpremium  > 特集  > 本・マンガ  > 人気タレントから成功を学ぶ幸福の科学の行く末とは?

――幸福の科学。周知の通り、日本最大級の宗教団体だ。そんな同団体の特徴のひとつが歴史上の偉人の守護霊を降霊して出版される『霊言本』なるシリーズ。だが、ここ最近のラインナップを見てみると、大きな変化が見受けられるが……。

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(絵/藤本康生)
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『誰も知らない「人気絶頂男の秘密」』
大川隆法/幸福の科学出版(14年)/1400円+税
ドラマ『半沢直樹』で大ブレイクした堺雅人の守護霊を降霊。堺の出演ドラマの大成功から彼の守護霊の弁より「成功の法則を学ぶべき」という幸福の科学の目的が記されている。ブレイクした理由に、幸福の科学の「法シリーズ」に取り上げられたと発言している箇所は、妙にうなずける談話。


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『人間力の鍛え方』
大川隆法/幸福の科学出版(14年)/1400円+税
大河ドラマ『軍師官兵衛』の主演・岡田准一の守護霊インタビュー。俳優業の使命から恋愛観まで、これ一冊で岡田のすべてがわかる。インタビュアーのひとり、幸福の科学のスタッフは、岡田の大ファン。中でも顔と肉体が好きだとか。


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『「感動を与える魔法」の秘密』
大川隆法/幸福の科学出版(14年)/1500円+税
「ディズニー成功の秘訣」「サービス業で成功するために必要なもの」など、ディズニービジネスのエッセンスが詰まったウォルト・ディズニーの霊言本。あとがきでは、不況に強いディズニーランドのビジネスや、霊界のダンス関係者によるミッキー役のダンス経験者の匠を礼讃している。


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『AKB48 ヒットの秘密』
大川隆法/幸福の科学出版(13年)/1400円+税
ご存知、AKB48のプロデューサー秋元康の守護霊を降霊。「やや分不相応なテーマに挑もう」という冒頭から始まる同書では、ヒット企画の発想力の秘訣を導き出す。特筆すべきは2ページに及ぶ巻末『前田敦子 守護霊の言葉』。一読の価値アリ。


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『木村拓哉の守護霊トーク』
大川隆法/幸福の科学出版(14年)/1400円+税
副題に「俺が時代を創る理由」とあるように、トップスターであるキムタクの成功の秘密に肉薄した1冊。冒頭、呼ばれてもない関ジャニ∞の錦戸亮の守護霊が出たがって、降霊舞台裏ではバトルが繰り広げられたなど、ジャニーさんびっくりのエピソードも。


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『スティーブ・ジョブズ衝撃の復活』
大川隆法/幸福の科学出版(13年)/2700円+税
信者らによる「スティーブ・ジョブズの霊言が聞きたい」という熱烈なエールにより実現した1冊。大川総裁による「私はデジタル家電に詳しくありません」という前置きはあるものの、アップル躍進の裏話も満載。全文英語訳がついているためか、価格は他霊言本の約2倍。


(質問者)「キムタク流」とは、どのようなものだとご自分では感じているのですか?

木村拓哉守護霊 演技が下手なところだね、はっきり言って。演技が下手で、もう諦めきってんだ。

 稀代の俳優によるあけすけな語りが展開されるこの本は、本誌読者であればご存じ、幸福の科学・大川隆法総裁による『木村拓哉の守護霊トーク』である。表紙には、"……っていうかさぁ 俺の霊言マジで出すの?"の文字が踊る。

 もともとは歴史上の宗教家や偉人の守護霊を降霊し、彼らの本音を浮き彫りにすることで現代社会が抱える問題と解決を説く――というシリーズだが、ここ数年に発売された書籍を見てみると、どこか大衆ウケを狙っているとしか思えないラインナップである。存命中の人物の霊言を登場させるのはもはや当たり前、さらにはV6の岡田准一、ドラマ『半沢直樹』で話題となった堺雅人、彼の妻である菅野美穂といったタレントや、『オバマ大統領の新・守護霊メッセージ』【1】といった外国の指導者から、さらには小保方晴子の守護霊にインタビューした『それでも「STAP細胞」は存在する』【2】まで刊行している。一方、大川隆法が自身の霊言を呼び出すという『大川隆法の守護霊霊言』【3】という変わり種もある。長年、幸福の科学をウォッチしてきた本誌としては、一体、彼らがどこに向かおうとしているのか、気になって仕方がない……というのが本稿の趣旨である。

 まず初心者のために簡単に解説しておくと、霊言シリーズの書籍に折り込まれている冊子には"霊言とは、あの世にいる霊を呼び出し、その霊の言葉を霊能者が語り下ろす現象"であり、チャネリングする人の言語中枢を使用するため、外国人の霊でも、その思いを受け取って日本語に翻訳して語ることもできるという。過去には坂本龍馬の霊言が土佐弁ではなく大川隆法の出身地である徳島弁でしゃべっていたこともあったようだが、無論、霊言の信憑性を損なうわけではない、ということだ。

 この公開霊言シリーズはわずか4年で220冊以上が刊行されたそうで、これらを含む大川隆法の年間書籍発刊数は2012年は101冊。13年は106冊に及び、ギネスブックの世界記録にも認定されたという。さらにこの霊言というイベントは、幸福の科学本部などの場所において、チャネラーである大川隆法が教団幹部の質問に答える形で、信者の前で公開された形で行われるものが基本型である。創価学会をはじめとする新宗教を鋭くチェックし続けるジャーナリストの乙骨正生氏は、幸福の科学の霊言をこう分析する。

「もともと日本にはイタコなど、口寄せや霊媒の伝統がありましたが、幸福の科学の霊言はその手法を取り入れたものだと思います。ただここで問題なのは、普通我々がある特定の人物について論評するときは、その人が発表した文章や発言を踏まえて、きちんとした論拠に基づいて論評するものですが、守護霊による発言では、そうした制約を無視もしくは逸脱することが可能となり、自らに都合のよい発言を作ることができるという点です」

 こうした霊言本シリーズには、いくつかの"お約束"がある。そのうちのひとつには、クライマックスで質問者がそのとき取り上げられている人物(の守護霊と称する大川隆法)に、過去世は誰かと問いただす。これに守護霊は抵抗するのだが、質問者がさまざまな歴史上の人物を挙げていくうちに、やがてある有名な人物が過去世であることが明らかになるというものだ。

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