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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第106回

『ハドソン川の奇跡』――容疑者は英雄か?老練のパイロットと映画監督への批判

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『ハドソン川の奇跡』

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2009年1月、零下6度のニューヨークで起こった旅客機着水事件の隠された真実に、クリント・イーストウッドが挑む話題作。155名を乗せた旅客機はエンジントラブルにより墜落を余儀なくされる。空港に戻るよう指示する管制室。しかし、それでは大惨事を招くとし、パイロットはハドソン川への不時着を選んだ。監督:クリント・イーストウッド/出演:トム・ハンクスほか。9月24日公開。


 今から7年前、2009年1月15日15時30分、筆者はニューヨークにいた。『キング・コーン』というドキュメンタリー映画監督の自宅でインタビューを終えて外に出ると、ヘリコプターが次から次へ、東から西に飛んで行った。地上でも街中にサイレンが鳴り響き、パトカーや消防車がやはり西に急いでいた。

 何が起きたのか、後で知った。近くのラガーディア空港から離陸したジェット旅客機のエンジンが雁を吸い込んで停止し、マンハッタンの西を流れるハドソン川に緊急着水したのだ。乗客乗員155人は全員無事だった。

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