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第1特集
華々しき五輪の元選手に聞く【2】

元ソウル五輪銅メダリスト・山口香が檄! 「選手起用法を誤った日本柔道界の"罪"」

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──日本選手権10連覇、世界選手権金メダル、そしてソウル五輪銅メダルという偉業を成し遂げた”女三四郎”は、現在の日本柔道界に何を思うのか?

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(写真/奥山智明)

 ソウル五輪銅メダリストである山口香氏は、柔道母国が抱える問題点を歯に衣着せず指摘できる希有な柔道指揮者である。ロンドンの地にて、女子は多くの金メダルが期待される一方、男子は史上最大の危機を迎えている。山口氏は言う。「男子は金メダルゼロの可能性だって十分ある」と──。

──ずばり、ロンドン五輪で日本柔道はいくつ金メダルを獲得できますか?

山口香(以下、) 女子は48キロ級の福見友子選手、52キロ級の中村美里選手、57キロ級の松本薫選手の3名は、金メダルの可能性が非常に高い。63キロ級の上野順恵は世界ランク1位の選手ですが、先にポイントをリードされたら逆転できる柔道をしていない。絶対的な存在とはいえません。それ以外の階級は金メダルこそ厳しいですが、メダルには届くと思います。

──一方の男子は?

 60キロ級(平岡拓晃)、66キロ級(海老沼匡)、73キロ級(中矢力)という3つの階級で金メダルがひとつも獲れなければ、ゼロに終わる可能性が高い。100キロ超級(上川大樹)は、メダルにすら届かないかもしれない。

──なぜ日本の男子は弱くなったのでしょう?

 世界の強国が増えて国際大会のレベルが高まっていることはあるでしょう。それから、指導者側の問題。ルールがたびたび改定され、世界の柔道が大きく変化する中で、日本の柔道界もそれに合わせて強化体制を根本から考え直すべきだったんです。ところが、アテネ、北京とそこそこメダルを獲れたために、タイミングを逸してしまった。

 選手に関していえば、日本男子は全体的に勝負に対して淡泊になりましたよね。最近は日本のチャンピオンが、海外で平気で一本負けを喫する。私たちの時代ならば、海外選手に負けたら「外国人に弱い」というレッテルを貼られて、次回は海外遠征に連れて行ってもらえなかった。負けても代表に選ばれるから、選手の危機意識が低いんだと思います。その責任は指導者側にもある。

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