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第1特集
ぶっちゃけナニがしたいんです!! 世界一キケンなロリコン座談会【2】

精神科医・斎藤環氏、かく語りき「ロリコンたちよ、アニメで大いにヌキなさい!!」

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 精神医学的な立場から見たロリコンとは?そしてその文化的背景とは?オタク文化にも詳しい精神科医の斎藤環氏に話を聞いた。

 まず、「ロリコン」は精神医学用語ではありません。精神医学上存在するのは「ペドファイル」。「小児性愛者」という意味で、主として、男女を問わず13歳以下の未成年に対して性的な欲望を抱く16歳以上のケースを指します。これに対して俗語である「ロリコン」は、ほぼ男性から少女への視点に限定されていますね。

 ではペドファイルは「病気」なのか。「ペドファイル」は、DSM(「アメリカ精神医学会によるさまざまな病理の診断基準を示したマニュアル)に確かに掲載はされていますが、ホモセクシャルと同じく、それを病気とみなすことは今ではタブー視される風潮があります。よって治療法もないに等しく、仮にあったとしても、薬理的治療と称して勃起できなくなる薬を継続的に飲ませる、といった乱暴な方法くらいでしょう。 ペドファイルとロリコンの違いとして私がよく例えるのは、「(宮崎)ハヤオとツトムの違い」です。宮崎駿は少女が登場するアニメ映画を作り、宮崎勤は実際に少女に性的接触を図り犯罪を犯した。つまりロリコンとは、イメージの世界だけで楽しむことができる人。ペドファイルとは実際に少女に手を出した人。簡単にいえばこういうことだと私はとらえています。

 ロリコンとなる原因としては、大人になることを拒絶する「去勢否認」が挙げられます。人間は幼少時のある時期までは世界に対する万能感を持っており、その時期には、ゲイやペドファイル、フェティシズムなど、大人の世界では倒錯的とされる、ありとあらゆる性欲を持っているとされます。しかし、途中で自分が万能ではないことに気づく。この気づきを「去勢」といい、去勢を経て成熟することで、ヘテロセクシズム(異性愛)という"イデオロギー"へ向かう。これが性的成長ですが、その過程を経ながら、後戻りしてしまう人がいる。そこからペドファイル的・ロリコン的欲望が生まれる、というのが精神分析的な公式見解ですね。

 そのような「後戻り」の要因として、メディアの影響はあると思いますよ。ロリコン画像がこれだけ氾濫している国はほかになく、そうした刺激の中で思春期を迎えた男子がロリコンに目覚めるというのは、十分起こり得るでしょう。性的指向というのは、幼児期に接した最初のセクシャルなイメージに縛られてしまうところがありますからね。

「日本人はロリコン」はまやかしである!!

『源氏物語』において、光源氏がまだ幼い紫の上と性的な関係を持つことなどから、「そもそも日本人は文化的にロリコンなのである」などといった物言いがよくなされますが、私はそれは間違いだと思います。そもそもペドファイルという性指向は、成熟した男女観のヘテロセクシズムのみを是とするキリスト教文化圏においてタブーとして発展してきたもので、その考え方が輸入された近代以前の日本はもともと、性的にはタブー意識が乏しい国、つまりは「性的になんでもアリ」な国でした。

「子ども」を「大人以前」の別種の存在としてとらえるのはきわめて近代的な考え方で、平安時代の日本では、紫の上みたいな幼女も、おそらくは「ものすごく若い女性」でしかなかったでしょう。「若い女性」を愛するのと、子どもを「子どもゆえに」愛するのとでは、まったく意味が異なりますよね。つまり、その頃の日本では女性に対するストライクゾーンが広かったというだけのことで、その年代だけを特化して子どもを性的に愛でる、という文化が盛んだったとはいえないでしょう。

 一方で、現在に至る日本のロリコンカルチャーを担った代表の1人に宮崎駿がいますが、彼の功績はとても大きかったと考えます。幼女という存在が、ある種の尊厳を持って扱われるべきであるという「モラル」を、「欲望」と同時に与えることができれば、仮にロリコンになったとしても、ペドファイルに流れることに対する歯止めになる、というのが私の仮説です。そして現代日本は、幼女へのそうしたモラル意識が根底に流れる宮崎作品を、空気のように受け入れている。だからこそロリコンの人々は、「幼女は好きだけど触らない」という基本的なモラルを身につけてこられたんです。

 その主張を体現するようなメディアに、ロリマンガ誌「コミックLO」(茜新社)があり、そのキャッチフレーズは「YES!ロリータ NO!タッチ」です。ロリコンはこうあるべきだと思いますね。ロリコンに対するタブー視がこれ以上広まれば、地下に潜ってしまい犯罪が増す恐れが強い。よって、それくらいオープンに、かつ安全なラインを決めてカルチャーとして展開すれば、最も犯罪率の低い状況が生まれてくるのではないでしょうか。現に日本の犯罪率は、世界でも最低水準です。もちろん、ロリコン文化に触れたことでロリコンに目覚め、そこで止まらず現実の少女に手を出した、という人も確率的には出てくるかもしれない。ですが功罪として考えた場合、そういった罪よりも、宮崎駿をはじめとする文化的な豊穣さを生み出した功のほうが圧倒的に大きい。それゆえ、ロリコンカルチャーは基本的に全面肯定、むしろグローバルに広げるべきものだというのが私の考えです。子どもの被害を食い止めるためにもね。

 ただ、アニメに比べ、写真は被写体となる実際の少女が被害者となる可能性もあるので、今後、規制が進むのはしかたがないと思います。3次元でしかダメ、というロリコンは、ある程度妥協せざるを得ないと思います。要するに「ロリコンの皆さん、アニメで大いにヌキなさい!!」ということですね。(談)

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斎藤環(さいとう・たまき)
1961年、岩手県生まれ。精神科医、評論家。筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。精神科医として勤務する傍ら、引きこもり等の社会問題に対してメディアで積極的に発言。『戦闘美少女の精神分析』(00年、太田出版)において戦闘アニメのヒロインはなぜ少女なのかについて考察するなど、オタク文化についても造詣が深い。


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