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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第37回

アメリカ軍部が隠蔽した英雄の死と味方の誤射

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『THE TILLMAN STORY』

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 02年、9.11の悲劇を受けて、NFLのスター選手にもかかわらず、多額の契約金を蹴ってまで陸軍に志願したパット・ティルマン。だが、訓練を終えた彼は"アメリカの正義"を疑いつつも、祖国のために戦地に赴くことに。その結果、不幸にもアフガンで名誉の戦死を遂げた。ところがその後、彼の死が味方の誤射によるものだと調査部隊により発表されたのだ。国家への不信と隠蔽工作を疑うティルマンの親族は、軍の高官を公聴会に引きずりだしたが……。アミール・バーレヴ監督のドキュメンタリー映画。※日本での公開予定はありません。


「バットは神になんか召されていない」

 アフガニスタンで戦死した兄パット・ティルマンの葬儀で、弟のリッチ・ティルマンは、列席した軍や政治、スポーツその他各界の名士たちに向かって、吐き捨てるように挨拶した。「兄貴は宗教なんか信じちゃいなかった。あんたらがどんなに彼を聖人にしたてようとも、兄貴はただ死んじまっただけだ!」

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