土手焼き――折鴨ちゃん、それは淀んだ土手焼きを救う救世主だった
―― 白味噌を入れすぎたためゲサゲサになってしまった土手焼きを前に私は方途に暮れていた。足りなければ足せばよいが、入れすぎたものを引くことはできない。というか、一度、入れてしまったら自ら責任を取らなければ...
―― 白味噌を入れすぎたためゲサゲサになってしまった土手焼きを前に私は方途に暮れていた。足りなければ足せばよいが、入れすぎたものを引くことはできない。というか、一度、入れてしまったら自ら責任を取らなければ...
―― 午前と午後、どちらが仕事が捗るかというと午前の方が捗る。なぜかというと午前中は世間がまだ動き出しておらず、世間に煩わされることなく没頭できるからである。なので私は午前の、それも早い時間に仕事を始め、...
―― 「串特急」に行ってきた。どうだったかというと失敗だった。というのはなぜ私が「串特急」に行ったのかという、その動機に関連していて、端的に言うと私は串特急は串カツ屋だと思っており、ならばその献立には必ず、...
―― 土手焼きを作る。そう決意してから一カ月が経ったがいまだ、土手焼きを作らないでいる。といって土手焼きのことを忘れたわけではない。頭のなかではつねに、土手が紅蓮の炎に包まれて燃えている。焼きたくってたま...
―― 先日。伊豆半島の突端近くの、下田、というところに行ってきた。と言うと、下田というのは、安政三年七月二十二日、アメリカ総領事、タウンゼント・ハリスがアメリカ大統領の国書を携えて上陸した場所として有名で...
―― 皮肉と茶番の混ぜ合わせ丼。白昼。唯々諾々とお仕着せの、万民向けの、真の文化を知らぬ戎夷に向けた解説書きを見つつ。これに従ってお好み焼きを焼く我と我が身の情けなさ。そを噛みしめつつ、訳のわからぬ、きつ...
―― 関東で人が屡々、蕎麦を茹でる、と発音するのを聞き、その都度、強烈な違和感を覚えた。なぜなら蕎麦やうどんというものは大坂では、湯がく、ものであったからである。しかるに関東ではこれを茹でるという人が多か...
―― 三十年以上も関東に生きて、これは果たしてどうなのだろうか。間違いではないのだろうか。と強く思うのは、世の中に充満する、わかりやすさ。である。 その背景には、どんな複雑精妙なことでも人民大衆が容易に理...
―― 大坂の魂を回復するのかなんか知らんが、その後、心のどぶ、を浄化して澄み渡った境地に至ろうとするのかなんか知らんが、SM(スーパー・マーケット)に参ってお好み焼きミックスや鰹節の粉などを購入し、それらの...
―― 若い頃には過剰な欲、功名心、虚栄心、嫉妬心、猜疑心などに自ら苦しみ、また、それによって他を苦しめる、といったこともあるのだけれども、だんだんに年をとってくるとそれらが薄れてくる。例えば若い頃は、同じ年...
―― 隣のおばはんは無茶苦茶だった。ホースで水を 撒き散らし、喚き暴れ、高木によじ登っては飛び降りるということを繰り返し、「そんなことをしたら死にますよ」と注意したのだが、ちっともやめず、そのうち、近所の人...
―― 散髪は最悪だった。というのは、散髪屋のおっさんが人の話をまったく聞かぬ男で、この男には、パンチパーマを当て、僕は普通のこざっぱりした髪型にして貰いたい、と言っているのにもかかわらず、私にパンチパーマを...
―― 豚は辛かった。豚小屋を掃除する際、水が冷たくて手がもげるかと思った。豚は自分勝手で人の気持ちを忖度することなどまるでなく自己主張ばかりしていた。もう養豚の手伝いは二度とやりたくない。今度、頼まれたらな...
―― どぶさらえはつらかった。くっさいし、さっむいし、おもろないし。みんな自分勝手なことばかり言って人の話を聞いてないから、ぜんぜん前へ進まないし。けどまあ、なんとか終わらせた。もうあんなことは二度とやりた...
―― 今から数箇月にわたって、お好み焼き、の話をしようと思っている。それは誰が。私が、である。私が、お好み焼きの話をしよう。と思いながらこれを書いているのである。と、文章が無茶苦茶になるのは自分のなかに迷い...