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町田康の「続・関東戎夷焼煮袋」第10回

お好み焼きをひっくり返す、その"最良の時"とは何時なのか

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――上京して数十年、すっかり大坂人としての魂から乖離してしまった町田康が、大坂のソウルフードと向き合い、魂の回復を図る!

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photo Machida Ko

 皮肉と茶番の混ぜ合わせ丼。白昼。唯々諾々とお仕着せの、万民向けの、真の文化を知らぬ戎夷に向けた解説書きを見つつ。これに従ってお好み焼きを焼く我と我が身の情けなさ。そを噛みしめつつ、訳のわからぬ、きつね色、を夢想している。

 夢想といってしかしそれはけっして甘美なものではない。絶え間のない焦りと恐怖に支配された悪夢である。すなわち、早くひっくり返さないと焦げてしまうのではないかという黒焦げの焦りと、いやいやまだまだ生焼けで、すなわち固まっていないから、いま焦ってひっくり返せば、全体がグチャグチャになってしまうのではないか、というグチャグチャの恐怖である。

 というのは体験してみなければわからないことかも知れないが、例えば消費税増税論議を思い浮かべてみればわかりやすいであろう。すなわち、いま消費税を増徴しなければ日本に対する国際的な信認が揺らぎ国債の価格が暴落して金利も上がって国家の財政が破綻してしまうから早く消費税の増税をしなければならない、という焦りと、景気が十分に恢復しないうちに増税をしたらマイナス成長になってしまう、という恐怖に支配された悪夢、という訳である。

 しかし、いつまでも夢のなかに居る訳にはいかない。焦りと恐怖のなかで煩悶したからといって問題が解決するわけではなく、私たちは、黒焦げか生焼けのどちらかを選択するしかない。

 というと多くの人が、そんなものはどちらも嫌だ。私たちは最良の、きつね色、を希求する。と言うだろう。勿論、それは不可能ではない。いままさにこの瞬間、というタイミングを逃さなければ、経済政策においてもお好み焼きにおいても私たちは最良の、きつね色、を得ることができる。しかし、瞬間とはまさに、瞬間、であり、これをとらえるのはきわめて困難である。

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