
単なるペラペラのドラマに堕した『江~姫たちの戦国~』 問題は安易な脚本か
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2012年2月号 DRAMAクロスレビュー
■ARATAをめぐる榮倉奈々と菅野美穂の泥仕合!

『蜜の味〜A Taste Of Honey〜』
脚本/大石静
演出/水田成英ほか プロデューサー/長部聡介ほか
出演/ARATA、榮倉奈々、菅野美穂ほか
放映/10月13日よりフジテレビ系にて、毎週木曜22:00〜22:54(12月22日終了)
長年好きな叔父・雅人(ARATA)を追って医大に入った直子(榮倉)。彼は医師仲間の彩(菅野)と付き合っており、直子の出現で彩は結婚を急ぐが、新婚生活はうまくゆかない。彩は直子に対して攻撃的になり、雅人は直子の一途さに触れて揺らぐ。脚本は『セカンドバージン』の大石静。
【批評家・宇野評】
★★★★★☆☆☆☆☆
設定の破壊力に自壊したか?
『セカンドバージン』でイケメンに「萌え」るという回路を発見した大石静が、「萌え」る側の主体=女子の欲望を掘り下げた一作......ではあるのだろう。それが少女マンガじみた妄想=榮倉と、バリキャリの支配欲=菅野の分裂というモチーフだったのだろうが、大石の視点は常に後者に偏っており、その結果中途半端な展開になった感は拭えない。近親姦すらロマンチックに盛り上がらないのは、思いついたはいいが大石が少女性を描けなかったことを証明している。
みんなでミタさんをウォッチする楽しみ ニコ生配信的魅力が牽引した『家政婦のミタ』
関連タグ : 11人もいる! | 201202 | ドラマ | 家政婦のミタ | 月刊カルチャー時評 | 私が恋愛できない理由
──ついに"ドラマの帝王"木村拓哉ですら視聴率の取れなくなったドラマ大恐慌時代。そんなテレビ離れ世代にこそ見て欲しい、テレビマンたちの力とは? ドラマの見方が変わる新目線批評。
2012年2月号 DRAMAクロスレビュー
■最終回視聴率40%超えの最話題作

『家政婦のミタ』
脚本/遊川和彦
演出/猪股隆一ほか プロデューサー/田中芳樹ほか
出演/松嶋菜々子、長谷川博己、相武紗季ほか
放映/10月12日より日本テレビにて、毎週水曜22:00〜22:54(12月21日終了)
無表情で人間味がなく、命令されればなんでもする家政婦・三田(松嶋)が、崩壊寸前の阿須田家に派遣される。一家の父・恵一(長谷川)と4人の子どもたちはやがて三田の行動によって絆を取り戻してゆく。松嶋は2年ぶりの連ドラ主演作、脚本は『曲げられない女』などの遊川和彦。
【批評家・宇野評】
★★★★★★★★☆☆
オリジナルドラマの可能性を証明
表面的にはミタというマンガ的なキャラへの関心で引きながら、「決定的に損なわれた家族のぎこちない再生」という、震災後の日本人が最も欲していた、しかし自覚できていなかった物語に次第に引き込んでいく脚本が巧い。父親役の長谷川博己をはじめ、役者陣がこの意欲的な脚本に十二分に応えている。難点を挙げれば着地点の凡庸さだが、予定調和ゆえの高視聴率だと思えば悪くない。オリジナルドラマの可能性を改めて証明した一作だろう。
"20代働く女"は中二病!? 小さなオフィスで繰り広げられる『午前3時の危険地帯』の矮小な現実
関連タグ : 201202 | Real Clothes | カノジョは嘘を愛しすぎてる | カルチャー時評 | マンガ | 午前3時の危険地帯
2012年2月号 COMICクロスレビュー
■手練が描く、恋とオシャレとお仕事と
『Real Clothes』(13巻)
作/槇村さとる
掲載/「YOU」(集英社)
価格/440円 発行日/11月18日
優秀さを買われて婦人服売り場に異動になった百貨店社員の絹江。そこには、仕事の鬼で服バカの田渕課長、特別サロンを仕切り数時間で1000万円を売る神保部長など、アクの強い面々が集まっていた。洋服愛に目覚め、仕事にも邁進する絹江は、婚約者と別れることに。やがて田渕との関係に少しずつ変化が......。ドラマ化もされた人気作が完結。
【ライター・高野評】
★★★★★☆☆☆☆☆
洋服が可愛くないという致命的欠点
まず洋服が可愛くない。全然リアルではない。もちろんファッションはこの物語(ワーキング・ロマン)のギミックでしかない。わかってはいるが、やっぱり「テーマは仕事ですから」とフォローしなければならないような描写では、少女マンガとしての輝きは半減してしまう。しかし読後の高揚感はさすがで、個人的にはアリ。問題は、こういう前向きな「お仕事マンガ」を描ける人が、1979年生まれの主人公世代以降に少ないことなのかもしれない。
『鋼の錬金術師』の根源がここにあり! さすがの安定感を見せる『銀の匙』だが、凡庸さも......
関連タグ : 201202 | げんしけん | ヒストリエ | マンガ | 月刊カルチャー | 銀の匙 Silver Spoon
──趣味の細分化が進み、ますます男女の垣根がなくなりつつある"マンガ"。いくら売れなくなってきているとはいえ、マンガ大国日本の底力は健在です! 何を読んだらいいかわからない? ならばまずはこれを読め!
2012年2月号 COMICクロスレビュー
■古代オリエント世界に渦巻く謀略と戦い
『ヒストリエ』(7巻)
作/岩明均
掲載/「月刊アフタヌーン」(講談社)
価格/580円 発行日/11月22日
紀元前4世紀頃のギリシャやマケドニア、ペルシアが舞台。ギリシャ都市国家の裕福な家庭に育ったエウメネスは、当主たる父親への謀反発生の際に養子だったことが判明し、奴隷の身に落とされて故郷を追われる。その後出会ったマケドニア王国のアレクサンドロス大王に、書記官として仕えた彼の生涯を描く。『寄生獣』作者の肝いり長期連載。
【脚本/演出家・麻草評】
★★★★★★★★☆☆
コマ割り、見開き、技術力に感嘆
陰鬱でねっとりした時間が流れる前半部には心地よい眩暈を感じる。アレキサンドロス王子と未来の部下による友情の育みようにも、コマ割りの秀逸さに感動させられつつ、史実を想起して冷や汗。これから先も王子の悲劇にどっぷりつかることができそう。迫力の見開きで圧巻の9ページ連続丸呑みを体験してみよう。しかし、主人公のエウメネスは飲料水を飲んで遠くを見るばかり。将棋作りに夢中なのも良いけど、もう少し活躍してほしい。
青春神話が神映画の域に肉薄! 震災直後の感受性を正確にとらえた園子温の『ヒミズ』
関連タグ : 201202 | ヒミズ | 月光ノ仮面 | 月刊カルチャー時評 | 永遠の僕たち
──低迷する映画業界よ、こんな時代だからこそ攻める映画を! 保守的になりがちな映画業界に喝を入れる映画評。映画を見る前にこれを読むべし!
2012年2月号 MOVIEクロスレビュー
■古谷実vs園子温feat.二階堂ふみ!

『ヒミズ』
監督・脚本/園子温
原作/古谷実
出演/染谷将太、二階堂ふみ、吹越満、神楽坂恵ほか
配給/ギャガ 公開日/1月14日
昨年は『冷たい熱帯魚』に『恋の罪』で存在感を見せつけた園子温が、『行け!稲中卓球部』で知られる古谷実原作を実写化。ごく普通に生きたいと願う少年・住田祐一(染谷)と少女・茶沢景子(二階堂)が、ある事件をきっかけに狂った世界へ叩き込まれていくさまを描く。
【映画文筆業・那須評】
★★★★★★★☆☆☆
大人が子どもに責任を押し付けるな
テンポのよいカット割りにキャッチーなセリフが飛び交う中、父親殺しの長回しが重く効いてくる。園節と時代性が重なり、主演の2人もそれに応えている。ただ、おそらくこの物語に希望を見るのは、主に大人世代だろう。子どもたちに未来を託すのは大人の責任放棄とも言え、当事者である未成年に訴えかける方法としては弱く感じる。また、俗っぽい言葉や役回りをすべて二階堂ふみに負わせ、決定的な行動の動機を女子に頼りきっているのがたまにキズ。
亀梨くん抜擢は正解だった! 注目の脚本家とプロデューサーが魅せた日テレ土曜9時枠の底力
関連タグ : 201202 | ドラマ | 妖怪人間ベム | 宇野常寛 | 岡室美奈子 | 成馬零一 | 日本テレビ | 月刊カルチャー時評
「CYZO×PLANETS 月刊カルチャー時評」とは?
本誌連載陣でもある批評家・編集者の宇野常寛氏が主宰するインディーズ・カルチャーマガジン「PLANETS」とサイゾーがタッグを組み、宇野氏プロデュースのもと、雑誌業界で地位低下中のカルチャー批評の復権を図る連載企画。新進気鋭の書き手たちによる、ここでしかできないカルチャー時評をお届けします。見るべき作品も読むべき批評も、ここにある!
【今月の1本】
『妖怪人間ベム』
岡室美奈子[現代演劇研究]×成馬零一[ドラマ評論家]×宇野常寛[批評家]

──ドラマが全体的に豊作だった2011年秋冬クール。世間的には『家政婦のミタ』が大注目だったが、ドラマ好きの間では『妖怪人間ベム』も放映前から注目されていた。『Q10』や『銭ゲバ』を手がけた日テレ・河野英裕プロデューサーと、『怪物くん』やアニメ『TIGER&BUNNY』で大ブレイクした脚本家・西田征史という組み合わせは、果たしてどう出たか? 異形の存在を描ききった本作から、ポスト3・11のドラマを考える。
宇野 2011年10月クールのドラマは、話題作が豊富でしたね。話題でいったら『家政婦のミタ』(日本テレビ)がダントツでしょうが、今回はあえて『妖怪人間ベム』をテーマにしたいと思います。
成馬 ドラマ好きにとっては、河野英裕プロデューサー(日テレ)と、脚本家・西田征史のコンビがついにきたかということで、かなり期待感があったんです。ただ一般的な層から見ると「また昔のアニメのドラマ化かよ」って感じで、通りが悪かった印象もありますね。
残念なイケメンに萌えて共感する河内遙の『関根くんの恋』
関連タグ : 201201 | さんすくみ | マンガ | 月刊カルチャー時評 | 虎と狼 | 関根くんの恋
2012年1月号 COMICクロスレビュー
■『花男』(はなだん)作者の腐女子学園モノ!
『虎と狼』(5巻)
作/神尾葉子
掲載/「別冊マーガレット」(集英社)
価格/420円 発行日/10月25日
高1の美以(ミー)は筋金入りの腐女子。定食屋を営む祖母と2人暮らしで、調理の手伝いをしているが、常連のイケメン2人が互いを「トラ」「オオカミ」と呼び合うのを聞いて妄想が暴走気味。そして進級した春、新任教師として2人が赴任してくる。親しくするミーだったが、そのせいで同級生の嫉妬を受けるなど、波乱の日々が続く。『花男』作者の新作。
【ライター・高野評】
★★★★★★★☆☆☆
様式美の完成度は高し
「少女マンガ=花より男子」というレベルの代表作を持つベテラン作家の力量を思い知らされた。ツンとした黒髪男子とやさしい白髪男子の配置。教室の冷戦と、戦う女の子への共感。確かに目新しさはないが、様式美として完成している。ちなみに、『花男』の時代から男子たちの関係性にBL的想像力を感じていた身としては、作者自身の告白によってそれを裏付けられたことがうれしい。これって少女マンガのテーゼとして、重大な告白ではないだろうか。
4年ぶりの新刊に沸く『預言者ピッピ』 大幅書き下ろし部分に残る懸念
関連タグ : 201201 | デラシネマ | マンガ | 月刊カルチャー時評 | 足利アナーキー | 預言者ピッピ
──趣味の細分化が進み、ますます男女の垣根がなくなりつつある"マンガ"。いくら売れなくなってきているとはいえ、マンガ大国日本の底力は健在です! 何を読んだらいいかわからない? ならばまずはこれを読め!
2012年1月号 COMICクロスレビュー
■郊外ヤンキー像のアップトゥデート
『足利アナーキー』(6巻)
作/吉沢潤一
掲載/「ヤングチャンピオン」(秋田書店)
価格/560円 発行日/10月20日
北関東は栃木県足利市を舞台に、土着のヤンキー高校生たちを描いた、秋田書店お得意のヤンキーマンガ。むちゃくちゃケンカが強く、強さのあまりヤクザにスカウトされたりする春樹と、その友人で読者モデルの風雅。高校3年生の彼らは、何もない田舎で、日々喧嘩に明け暮れながら、「日本一のギャングになる」を目指す。
【脚本/演出家・麻草評】
★★★★☆☆☆☆☆☆
ここから化けるかどうかな?
『ホーリーランド』っぽい表紙絵からシビアな内容を期待したら、『エアマスター』風味の薀蓄バトルマンガだった。休憩や騙しにスポットを当てる喧嘩シーン等には独特の魅力があるも、『喧嘩商売』を想起してしまえば、魅力も半減する。絵柄を急に変化させるギャグも柴田ヨクサル的で、とにかくマンガとしては未消化な印象。ただし内容の位相がずるりと変化する最新刊の最終ページには注目したい。ここからキメラ的に化ける可能性もある。
『ステキな金縛り』の深津絵里×TKO木下は、三谷幸喜×小林聡美の写し鏡!?
関連タグ : 201201 | ステキな金縛り | ハラがコレなんで | ハードロマンチッカー | 映画 | 月刊カルチャー時評
■喜劇王(?)三谷幸喜の幽霊法廷劇

『ステキな金縛り』
監督・脚本/三谷幸喜
製作/亀山千広ほか
出演/深津絵里、西田敏行、阿部寛ほか
配給/東宝 公開/10月29日
ダメ弁護士・エミ(深津)は殺人事件を引き受けた。被告人(KAN)が「犯行時刻は、旅館で落ち武者の幽霊に乗られて金縛りに遭っていた」と述べたため、旅館を訪ねると、落ち武者幽霊・六兵衛(西田)に遭遇。アリバイを証言してもらうことになるが、誰にでも見えるわけではない彼を、法廷に立たせようと奔走する。
【映画文筆業・那須評】
★★★★★☆☆☆☆☆
幽霊を使うのは禁じ手だったろう
幽霊のいるいない論争を法廷に持ち込んだまではよかったが、それにカタがついた途端にルール度外視の無法地帯に突入。この世とあの世が入り乱れ、切り札に幽霊を使う禁じ手を繰り出された日には腰砕け。にしても、深津絵里とTKO木下の奇妙な男女関係──同棲しているようだが恋人にしては性的な匂いが皆無、友達にしては甘えすぎている──は、2人の仲を劇中では頑なに明言しないことも含め、三谷・小林元夫妻の末期を思わせて後味が苦い。
蛇足と思われた『猿の惑星:創世記』も、ハリウッドの手にかかれば良質のエンタテインメントに!
関連タグ : 201201 | CUT | ミッション:8ミニッツ | 映画 | 月刊カルチャー時評 | 猿の惑星:創世記
──低迷する映画業界よ、こんな時代だからこそ攻める映画を! 保守的になりがちな映画業界に喝を入れる映画評。映画を見る前にこれを読むべし!
2012年1月号 MOVIEクロスレビュー
■SF映画の名作シリーズ・エピソード0

『猿の惑星:創世記』
監督/ルパート・ワイアット
脚本/リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー
出演/ジェームズ・フランコ、フリーダ・ピント、ジョン・リスゴーほか
配給/20世紀フォックス 公開/10月7日
新薬研究者のウィル。実験対象のメスのチンパンジーが知能を示すが、ある時射殺されてしまう。ウィルは、彼女の子シーザーを引き取る。シーザーも高い知能を持っていたが、ある事件から保護施設へ。そこで彼は進化を遂げる。68年から続くシリーズの新作で、物語の起点となるオリジナルストーリー。
【映画文筆業・那須評】
★★★★★★★★☆☆
進化した猿にはCGの効果抜群
この期に及んでこのシリーズにどんな前日談があるというのか、と眉唾な気持ちでいたら思わぬ快作。進化した猿たちを描くのにCGはうってつけであり、その驚異的かつ新しい身体能力は斬新で、馬に乗る猿などお宝映像も満載。天才猿シーザーが初めて発する言葉のチョイスも見事で、ヘレン・ケラー並みの衝撃はある。何より、自分の能力を不当に認めない世間への怒りと悲しみを滲ませたシーザーの「人間らしさ」にフィーチャーしたのが素晴らしい。
詳細はこちら
ご不明点は「こちら」まで
















