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第1特集
ついに1グラムあたり3万円の大台に乗った!

“金”の価格が急上昇!中央銀行買い増しの狙い「米ドル一強時代」の終焉

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イラン情勢を受けて金の価格が急騰している。「世界情勢が不安定になると金の価格が上昇する」といわれているが、それは一体なぜなのか?さらに、各国の中央銀行が金を爆買いしているが、その理由とは?大量に保有することで「覇権国家」を狙える金の本当の価値について考える。

2026年1月29日、日本国内の金価格の指標とされる田中貴金属工業の店頭小売価格(税込)が、初めて1グラムあたり2万
9815円に達し、史上最高値を更新した。

2月2日には2万6712円と、前週から14%を超える大幅な下落となったものの、イラン情勢を受けて再び急騰。3月2日には1グラムあたり3万305円となり、約1カ月ぶりに最高値を更新した。

世界情勢が不安定になると金の価格が上昇するといわれているが、それだけではない。実は日本銀行のような各国の中央銀行が急速に金を買い増しているという。最近は「純金積立」や「ETF(上場投資信託)」などで身近な存在になった金だが、その本当の価値とは何か?

約3000年たっても価値を保つ金の資産性

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金ピカのページになるはずが、どうしてモノクロに……。(写真/Sven Hoppe/picture alliance via Getty Images)

金は古代から力と富を持つ者の象徴として、歴史の中で時代の指導者や王族と深い関わりを持つ。長い年月がたっても輝きを失わない金は、不老不死の象徴としてもあがめられてきた。

「金の大きな特徴は、腐食・劣化しないことに尽きます。約3000年前に金で作られたツタンカーメンのマスクは今も金ピカ。これが鉄器や青銅器だったら、腐食してボロボロになっていたでしょう」

そう語るのは、コモディティーインテリジェンス代表取締役の近藤雅世氏。

「青銅器の耐食性は1500年ぐらいで、3000年前の宝物として現存しているものは金製が大半を占めます。人類の歴史の中で3000年後も価値を失わず、子孫に受け継げる実物資産として証明されているものは、おそらく金のほかにはないでしょう」

現代においても、戦争や災害に強い資産として安定した需要がある金だが、資本主義経済における金本位制は1816年のイギリスに始まった。

1844年にはイングランド銀行が金と交換可能な「ポンド」を兌換紙幣(金1オンス=3ポンド17シリング10ペンス半)として発行。インドなどの広大な植民地を支配下に置き、世界で最も安定した財政基盤を有していたことを背景に、19世紀末にはロンドンの金融街・シティを中心とした国際金本位制=ポンド体制が確立された。

金本位制のもとで紙幣は、中央銀行が保有する金貨や金塊と引き換えに発行される、金と交換できる兌換紙幣だ。紙幣が信用される根拠は、本来、金本位制の兌換制度にあり、金本位制のもとでは各国の通貨量・紙幣量は金の保有量に制約される。

明治政府のもとで近代的通貨制度が整備された日本でも、日清戦争の賠償金をもとに1897年に金本位制が採られた。

「産業革命以前、17世紀にはオランダ、さらにそれ以前にはポルトガルやスペインなどの海洋国家が、世界の海上貿易の主導権を握っていました。しかし、18世紀後半にイギリスで織機などの機械化が進み、綿織物産業を中心に産業革命が起きると、イギリスは世界最大の工業国となり、世界貿易の中心的な存在となります。イギリスの工業製品、とりわけ綿織物が世界各地に輸出される状況下で、イングランド銀行を中心とする金融制度が整備されていきました。金と交換可能な通貨としての信頼性を背景に、ポンドは国際決済で広く使われるようになり、事実上の基軸通貨として世界経済で強い影響力を持つようになったのです」(近藤氏)

「世界の工場」として世界経済をリードしていたイギリスは、貿易決済の多くがロンドンを経由することで国際金融の中心となった。

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