サイゾーpremium  > 特集2  > 芸人は皆【最期の仕事】を選べない

――5月に刊行された『昭和芸人 七人の最期』(文春文庫)というノンフィクションがある。昭和の一時代を築いた芸人たちの晩年をまとめた力作を記したのは、1979年生まれの若き演劇研究者だ。芸人はいつ、どうやって死ぬのか? この不安は、お笑いファン・バラエティ好きなら共感できるものだろう。昭和芸人の例を踏まえながら、芸人が年を取る難しさの理由を氏に紐解いてもらった。

1608prof_sasayama_230.jpg
笹山敬輔氏。(写真/北川泉)

──笹山さんは『昭和芸人 七人の最期』のプロローグで、「自らの価値観を形成する上でダウンタウンの影響が圧倒的だったという自覚がある」と書かれるほどのダウンタウンファンなんですよね。そんな彼らの“晩年”や“引退”を迎える姿を見ることが怖いという理由から、昭和の芸人たちの最期について書くことでその不安を和らげたかった──と、執筆の動機を書かれていました。ダウンタウンの最後を心配するようになったのは、何かきっかけがあったのですか?

笹山敬輔(以下、笹山) 特にここ数年、彼らがバラエティ番組などで少しでも引退を匂わすような発言をすると、すぐに話題になりますよね。例えば浜田さんが「そんなに長くやりたくない」とか「いつかやめたい」と言っただけでネットニュースになったり。松本さんも30代のうちから「いずれ引退する」「長くはやらない」と、けっこう言ってらっしゃった。最近は、たけしさんも自身のテレビ番組で「引退するかどうかは、自分で客前へ出て計る。ウケなかったらもうダメだと思う」ということを仰っていて、すぐに記事になっていた。そういうふうなものを見るにつけ、より気になるようになってきて。

──彼らクラスになると、ウケる/ウケないの判断も難しくなりそうです。

笹山 何をもって「ウケなくなった」と判断するのか、難しいところではあります。芸人さんの活躍の場がテレビである限り、テレビで姿を見なくなったり、出演番組の視聴率が少しでも悪くなると、「つまらなくなった」とか「飽きられた」などと言われやすい商売ではあります。歌手だったら、何年もヒット曲が出なくても、北島三郎や和田アキ子は「歌が下手」とは言われない。だけど芸人は視聴率が取れなかったり人気がない、イコール「つまらない」、と言われてしまいますから。だから、最前線でやっていればいるほど、いつまでも今のままではいられないだろうという恐怖感を覚えて、そういう発言をされるのかと思います。

──著書の中で、「芸人は人気を失った時、即座に『面白くなくなった』という評価が下る。お笑いには、観客の笑い声という明らかな指標がある」と記されていましたが、テレビで直接観客の反応を見ることは少ないですよね。昭和の、演芸場や劇場が中心だった時代は、今より辞め時を判断しやすかったのでしょうか?

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2021年2月号

“男性学”のススメ

“男性学”のススメ
    • 【男らしさ】イメージの変遷
    • 男性学(基)【ブックガイド】
    • 【キリスト教】の男性優位主義
    • 女子が萌える【ラップ男子】
    • コロナ禍で始動【Zoomgals】
    • サンドウィッチマン【男同士のケア】
    • 【青柳翔】が語る“男らしさ”
    • オトコが乗る【軽自動車】
    • 【マンガ・アニメ】の軽自動車
    • 【ジャニーズ】男性アイドル像
    • 時代錯誤な【ジェンダー観】
    • 【サザエさん】は有害か?
    • 『サザエさん』の【初回】
    • 【井田裕隆】に聞くAV男優像
    • ポルノ視聴と【男性性の劣化】の関係
    • おじさんの【フェイスブック】
    • 【フェイスブック運営】側とのズレ
    • 育児特化の【ベビーテック】
    • 5秒でわかる【ベビーテック】
    • 【自民党】に根付く男尊女卑

「篠崎こころ」ラグジュアリーに魅せた麗しさ

「篠崎こころ」ラグジュアリーに魅せた麗しさ
    • 【篠崎こころ】召しませ #金髪ショー党

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 【岡田結実】バラエティの人気者はエゴサで成果を感じる
    • 【STUTS】人気トラックメイカーがラップに初挑戦!
    • 【土井裕泰】TBSのエースディレクターの問題作に迫る

連載

    • 【あまつまりな】流れに身を任せちゃうんです。
    • 【グレイテスト・ラウンドガール】に新メンバー!
    • あの素晴らしい【恵美】をもう一度
    • 【コロナと不況】21年に生き残る術
    • 【萱野稔人】ソロ社会化とコミュニティの変化
    • ありがとう、【小松の親分さん】
    • ワクチンがつくる【コロナ後の世界】
    • 【丸屋九兵衛】ショーン・コネリーを語る
    • 【町山智浩】「ストレンジ・フィーリング」カトリックの洗脳とオナニー
    • 【コロナ対策論議】の根本的欠如
    • 「謎」と「静」で振り返る【2020年】
    • 【小原真史】の「写真時評」
    • 【笹 公人】「念力事報」鬼狩りの時代
    • 【稲田豊史】「妻が口をきいてくれません」圧巻の“胸クソ”読後感
    • 【辛酸なめ子】の「佳子様偏愛採取録」
    • 【本場仕込み】のビールが飲める“リビングルーム”
    • 【更科修一郎】幽霊、批評家は文化的背教者なのか。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』