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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第52回

ウォール街が崩れ去るその裏で金融崩壊を引き起こした証券マンたちの葛藤

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雪に隠れた岩山のように、正面からは見えてこない。でも、映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる。超大国の真の姿をお届け。

『マージン・コール』

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2008年の金融危機の中で、某投資会社は倒産しかねない危機的事態に陥った。そこで働く社員たちの緊迫の24時間を描いた金融サスペンス。金融崩壊を前に彼らが下した決断とは……。

監督/J・C・チャンダー 出演/ザッカリー・クイント、ケヴィン・スペイシー、ジェレミー・アイアンズ、デミ・ムーアほか日本での公開は未定 DVDが2012年2月3日に発売予定


 2008年9月、創業107年目のマンハッタンの某投資会社で、社員の8割がリストラされた。危機管理アナリストのエリックも、すぐにオフィスを去るよう命じられた。アメリカではよくあることだ。

「ちょっと待ってくれ、今、ものすごく重大な仕事の最中なんだ!」

 警備員は聞く耳を持たず、エリックをエレベーターに押し込む。ドアが閉まる直前、彼は若手の部下ピーターにUSBストレージを手渡した。

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