
新聞・テレビの崩壊が生むソーシャルメディアの情報格差【後編】
関連タグ : 201202 | マル激 | 佐々木俊尚 | 宮台真司 | 神保哲生
職業ジャーナリストは消え去る運命なのか?
神保 では、ここからは、マスメディアの今後を考えていきたいと思います。媒体別の広告費を見ると、テレビは相変わらず高い広告費を維持していますが、最近の動向では、新聞の広告費がインターネットに抜かれたことがしばしば特筆されます。もっとも、日本の場合は新聞の数が少なく、それに対してネットには無数のサイトがありますから、この数字が単純に影響力を反映しているとはいえませんが。
佐々木 広告を考えると、インターネットのメリットは、効果測定が可能で、ショッピングサイトへの導線を引くことができること。一方、ネット広告に足りないのは、最初のアテンションです。そこは相変わらず、テレビが強い。テレビCMが持つ力は大きく、視聴者にパッションが生まれます。インターネットでは、何かを買おうと決めてからの勝負になる。そこで今、最もはやっているモデルは、テレビCMの最後に「○○で検索」という言葉をつけて、ネットに導線を引くやり方です。ネット広告が最初のパッションを取るところまで至れば、テレビCMは激減するでしょうね。
新聞・テレビの崩壊が生むソーシャルメディアの情報格差【中編】
関連タグ : 201202 | マル激 | 佐々木俊尚 | 宮台真司 | 神保哲生
テクノロジーが変えるメディアとネットの将来
神保 原発事故とその報道といった多くの問題は善悪に切り分けられるほど単純じゃないし、単純化することで場合によっては命にかかわるような問題が生じる、ということもわかりました。特に今回のような事故が起きると、報道がエンターテインメントでは済まされないということに、気付いてしまったということですね。話を善悪二元論に単純化し、面白おかしく報じているうちはよかったが、生き死ににもかかわる重大で複雑な問題を、冷静かつ中立的な立場から正確に報じようとすると、話を単純化したり面白おかしく報じることは難しくなります。しかも、普段からそういう姿勢で取材し、報道していないと、いざというときに急にできるものでもありません。
新聞・テレビの崩壊が生むソーシャルメディアの情報格差【前編】
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ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

今月のゲスト
佐々木俊尚[ジャーナリスト]
──当連載でもたびたび指摘してきたが、3・11以降、テレビや新聞といったマスメディアへの不信感は増大する一方だ。そんな中、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は、自著において「2011年、新聞社やテレビ局はマスメディアとしての機能を失う」ことを予測し、それは現実となった。だが、それに代わるネットメディアの中で台頭する、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアでは、情報を得ることに"格差"が生じることも危惧している。旧来型マスメディアが崩壊することで、どのように我々は「正しい情報」を得るべきか、ジャーナリズムの将来と共に考えたい。
神保 今回は主に震災以降のマスメディア、ジャーナリズムについて議論したいと思います。ゲストは、09年に『2011年 新聞・テレビ消滅』(文藝春秋)という衝撃的なタイトルの本を出されたジャーナリストの佐々木俊尚さんです。2011年に入って「新聞もテレビも消滅していないじゃないか」と言われるのでは?
北海道警裏金問題から見える記者クラブの監視能力と疲弊【後編】
関連タグ : 201201 | マル激 | 宮台真司 | 神保哲生 | 高田昌幸
メディア本来の役割は報道なのか伝達なのか?
神保 メディアの問題について議論を進めましょう。繰り返しますが、記者クラブ問題は日本のメディアが抱える深刻な構造問題ですが、その制度の中にはメディアが失ってはいけない財産もあります。それは日本のメディアが政府各省庁のど真ん中に「記者クラブ」という取材拠点を持っているため、統治権力に対する監視が容易になっていることがひとつ。そして記者会見の主催権がメディア側にあるというのがもうひとつの財産です。いずれも先人たちが苦労して勝ち取った権益で、本来はメディアにとって、すなわち市民社会にとっても大きな財産となるべきものです。しかし、現在では一部のメディアの既得権益として濫用されているため、2つともメリットよりもむしろでメリットの方が大きくなってしまっているのが残念でなりません。相手の懐深く飛び込んでいるというのは、攻める場合にとても有効な拠点です。一方で、その権利が攻めの心を持っていない人たちの手に渡ると、単なる癒着と堕落の温床となります。今の日本の記者クラブは残念ながら後者です。高田さんにとって記者クラブという拠点があることは、警察取材をしていく上でどの程度重要なものだったのでしょうか?
北海道警裏金問題から見える記者クラブの監視能力と疲弊【中編】
関連タグ : 201201 | マル激 | 宮台真司 | 神保哲生 | 高田昌幸
新聞と警察で交わされた不健全すぎる手打ちとは?
神保 後々になって高田さんを冷遇した北海道新聞の幹部たちが、その時は"宣戦布告"をよく許しましたね。
高田 少なくとも当時は「警察とケンカするつもりか?」とたしなめるような人はいなかったし、社内の雰囲気も「やってやろう」という感じでした。きちんとした取材をして、裏付けが取れて、ニュースの確度も文章もしっかりしていれば、紙面に載っていましたね。
神保 そして04年12月、道警が職員3000人以上の処分を発表。北海道新聞の全面勝利です。ところがその後、風向きはどのように変わっていったのでしょうか?
北海道警裏金問題から見える記者クラブの監視能力と疲弊【前編】
関連タグ : 201201 | マル激 | 宮台真司 | 神保哲生 | 高田昌幸
ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

今月のゲスト
高田昌幸[ジャーナリスト]
──03年に発覚した、北海道の旭川中央警察署の裏金問題は、その後、北海道警察全体で行われていた組織ぐるみの問題へと発展した。当時、北海道新聞のエース記者であり、裏金問題報道チームの指揮を執っていた高田氏は、今年6月に退社、フリージャーナリストの道を選んだ。その裏には、道警と道新の癒着ともいえる、不健全な関係があったと高田氏は語る。さらに、昨今、メディアの既得権益だと批判される記者クラブには、一方で権力の監視機関として機能させることもできると続ける──。そんな同氏と共に、警察とメディアの関係について、深く考えてみたい。
神保 今回のテーマは「警察とメディア」です。裏金問題など、警察の腐敗が明らかになった時、普段、メディアが警察と持ちつ持たれつの関係にあることが、その追及にどう影響をするのか。この問題は、ジャーナリズムが生き残れるのか、という根本的な議論にもつながります。
貧困、会社人間、国家の罠......映画でわかるアメリカの暗部【後編】
関連タグ : 201112 | マル激 | 宮台真司 | 町山智浩 | 神保哲生
ハリウッドが手がけたウォール街批判映画の意味
神保 『フェア・ゲーム』のアメリカでの公開は、10年。ブッシュ政権とイラク戦争というテーマは、マイケル・ムーアなども取り上げてきましたが、ナオミ・ワッツ、ショーン・ペン主演というメジャーな作品で描かれるのは初めてのこと。過去の話ではあるけれど、チェイニーなど、まだ隠然たる力を持っている人物も多数登場する。このタイミングで出てきたのは、何か背景があるのでしょうか?
貧困、会社人間、国家の罠......映画でわかるアメリカの暗部【中編】
関連タグ : 201112 | マル激 | 宮台真司 | 町山智浩 | 神保哲生
『フェア・ゲーム』に見るブッシュ政権の陰謀
神保 続いて『フェア・ゲーム』です。フェア・プレーという言葉は日本でも馴染みがありますが、フェア・ゲームはそれとは意味が異なり、「標的にされた獲物」という理解でいいのでしょうか?
町山 例えば「鹿がフェア・ゲームになった」と言えば、禁猟期間が明けて「撃っていい」状態になった、ということです。
この作品は、ブッシュ政権下で現実に起きた「プレイム事件」を映画化したものです。ヴァレリー・プレイムという実在の女性CIA工作員が、「イラクのフセインが、核兵器の材料を買っている」という情報の真偽を確かめる捜査を行うことになったが、否定的な情報しか出てこなかった。それをCI Aとしてチェイニー副大統領に報告したものの、ブッシュ大統領は、一般教書演説で、逆に「CIAの調査によると、イラクは核兵器を開発している」と語ってしまう。ブッシュ政権は、イラク戦争を起こすために、CIAの情報を無視して暴走したんです。
貧困、会社人間、国家の罠......映画でわかるアメリカの暗部【前編】
関連タグ : 201112 | マル激 | 宮台真司 | 町山智浩 | 神保哲生

ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地
今月のゲスト
町山智浩[映画評論家]
──覚せい剤の精製に手を染める貧しき白人たち、リーマンショックの影響でリストラされ、住宅ローンが支払えなくなったエリートサラリーマンの絶望と希望、ブッシュ政権下で起こった実在の事件を元に、事実を歪曲され、自身も国家の中枢から裏切られたCIA工作員の活躍など、アメリカのリアルを描いた作品が揃った今秋。政治問題、社会問題、そして人種問題にまでも踏み込んだ良作を、本誌連載陣のひとりでもある、映画評論家の町山智浩氏と共に見ていこう──。
神保 今回は映画評論家の町山智浩さんを招き、「映画」をテーマに議論していきます。町山さんにピックアップしていただいた映画は、マル激では珍しく、比較的メジャーな作品が多く、10月29日公開の『ウィンターズ・ボーン』と『フェア・ゲーム』、9月23日から公開されている『カンパニー・メン』、すでにDVD化している『アザー・ガイズ』の4作品です。
野田政権が掲げるべき増税の対価と日本の未来像【前編】
関連タグ : 201111 | マル激 | 宮台真司 | 神保哲生 | 萱野稔人 | 青木理
ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

今月のゲスト
青木理[ジャーナリスト]×萱野稔人[哲学者]
──9月2日に野田政権が発足したが、これまで各政権が抱えていた財政赤字や社会保障の問題に加え、震災の復興問題も重くのしかかるも、それらに明るい見通しは立っていない。さらに、世界各国で危惧されている金融破綻が追い討ちをかけ、日本経済の不透明さは増すばかりだ。そんな中「そもそも日本社会は終わっている」と言い放つ社会学者・宮台真司氏は"市民主導による政治"を根底問題の解決に掲げているが、日本政府が行うべき施策はどこにあるのだろうか? 本誌連載陣のひとり、哲学者・萱野稔人氏とジャーナリスト・青木理氏とともに、野田政権が抱える問題と日本の政治の現状について考えてみたい。
神保 今回はジャーナリスト・青木理さんと、哲学者・萱野稔人さんのお2人を招き、新しく発足した野田政権を引き合いに、日本の政治の現状について議論をしたいと思います。メディア報道を見る限り、世間一般の受け止め方は好意的な印象ですが、僕自身はこれで政権交代の意義は「終わったな」との印象で受け止めています。なんのための政権交代だったのか、わからなくなったという意味です。
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