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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第63回

東京電力は法で裁かれるのか?原発訴訟に見る司法の責任【中編】

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【前編はこちら】

原発訴訟で障壁となる専門技術的裁量とは?

神保 元裁判官の立場から、井戸さんは「伊方原発訴訟」をどう捉えていますか?

井戸 伊方原発訴訟では設置許可処分が「裁量処分」かどうか、ということが大きな争点になりました。行政は法律に基づいて行われなければなりませんが、すべてのケースを想定して「こういう場合は許可していい」と決めることはできない。それゆえに、行政側には裁量があります。この訴訟では、安全というものを行政の裁量で判断できるのか、それとも安全とは事実認定の問題であり、裁量で判断できるものではないのか、ということが大きく争われたのです。

 結果として、専門技術的な部分については裁判官が判断できないため、最高裁は専門家を立てている行政の判断を尊重すべきだとして、裁量を認めた格好です。裁量処分であれば、裁量の逸脱、乱用を原告側が立証しない限り、取り消すことはできない。この判断がその後に与えた影響は大きいですね。

海渡 確かに、過去の原発訴訟ではこの「専門技術的裁量」が壁になってきました。原発の耐震性や多重事故の可能性などが争点に上がっても、裁判所は常にこの専門技術的裁量を盾に、判断を"専門家"に委ねることで、原発の本当の危険性を直視することから逃れてきたのです。

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