サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > ネトフリの【麻薬ドラマ】のリアル度

――世界的に人気のNetflixオリジナル作品のひとつに、コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルを描いた『ナルコス』がある。その後、メキシコの麻薬王エル・チャポに焦点を当てた『エル・チャポ』も配信。これらは“ドラマ”だが、どこまで“リアル”か? 文献や専門家の見解を基に検証してみよう。

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『エル・チャポ』より。上からシナロア・カルテルを率いる麻薬王エル・チャポ(中央)、彼と裏で取引する官僚コンラド・ソル。本当に“悪い”のは誰なのか、わからなくなる……。

 15年8月(日本は9月)にシーズン1が配信されて以降、世界的な人気ドラマ・シリーズとなったNetflixオリジナル作品『ナルコス』。そして、17年4月にシーズン1がスタートし、今年7月に配信されたシーズン3で完結した『エル・チャポ』。コロンビアの麻薬王として知られるパブロ・エスコバル【1】DEA(アメリカ麻薬取締局)【2】の戦いと、その後の混乱を描いた前者、メキシコの麻薬王エル・チャポ【3】ことホアキン・グスマンの半生を描いた後者――それらのドラマは、いずれも中南米における“麻薬戦争”と呼ばれる事態を背景としている。

『ナルコス』の冒頭には、「事実に着想を得た創作であり、人物・場所・事件等は架空のものです」と但し書きが表示される。しかし、パブロをはじめとするメデジン・カルテルの幹部たちは、実際の名前で登場する。それは、『エル・チャポ』も同様である。そして、要所要所に挿入されるニュース映像も、実際のものを使用。さらに、『ナルコス』のもう一方の主人公であるDEAの捜査官コンビ、スティーブ・マーフィとハビエル・ペーニャもまた実在の人物であり、ペーニャは『ナルコス』シリーズの監修も務めている。つまり、実在/架空の人物や事件が複雑に絡まり合っているところが、この2つのドラマに共通する特徴なのだ。そこで描き出される物語は、果たしてどこまで現実を反映しているのだろうか――。

 そこでまずは、それぞれのドラマの舞台となる70年代から90年代までのコロンビア、80年代から現在に至るメキシコ、さらには麻薬カルテルが扱う麻薬の供給先であるアメリカの政治・社会状況を、文献を基に改めて見ていくことにしよう。

善悪の境界が揺らぐ『ナルコス』の勢力図

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