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ドクター苫米地に聞け!僕たちは洗脳されてるんですか?【4】

商業主義が叫ばれるオリンピック 熱狂する我々は洗脳状態なんですか?

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パリ2024オリンピックが、7月26日から8月11日まで、フランス・パリを中心に開催される。200カ国以上の国と地域から、1万人以上のアスリートが参加する「スポーツの祭典」「平和の祭典」だが、その商業主義的側面が批判にさらされることも多くなった。それでも日本中が熱狂するのが現実。そんな我々は洗脳されているのだろうか?


五輪は「教育」という名の洗脳

――まもなくパリ五輪が開催されますが、博士はかねてから五輪と洗脳の関係に言及されてきましたね。

苫米地 この時期になるとメディアも五輪一色になって、人々の熱量は条件反射的に高まるけど、その実態は、お金儲けをしたい人たちが牛耳るショーアップされたイベントでしょ。そんなことを意識させずに多くの国民を熱狂させるという意味では、五輪は強力な洗脳ツール。しかも、前回の東京五輪ぐらいから、もう一段階進化した感じだね。

――どういうことですか?

苫米地 まず、洗脳と五輪をつなぐのは、日本では電通だよね。これについてはサイゾーから出した『洗脳広告代理店 電通』(2012年)という書籍を読んでもらうことにして、要は「スポーツの祭典」をあの手この手で巨大ビジネスに仕立てる企業のひとつが電通。そのためにIOC(国際オリンピック委員会)と組んで、メディアや各競技団体をもコントールしているわけだ。ただ、洗脳といっても、見方を変えれば教育なのね。両者ともやることは脳への刷り込み、つまり内部表現の書き換えだけど、それを本人の利益のためにやるのが教育で、そうじゃないのが洗脳。ただ、「本人の利益かどうかは誰が決めるの?」ってことは考えどころで、本質的には全部洗脳なんだよ。何が大事で、何が常識かというのを教え込むのは、教える側の思想や信念などによるからね。ただし、「国家がやるのは、洗脳であっても教育と言います」ということが世界的に決まっている。なので、そういう枠組みでいうと、五輪は「教育」なんだよ。

――東京五輪でいえば、日本政府も深く関与した国家的なイベントでしたね。

苫米地 天皇陛下がご来場されたし、開会式は祝日になるし。「五輪万歳!」状態だよね。では、五輪がどこから洗脳ツールになったのかというと、1984年のロサンゼルス五輪から。ロス五輪が商業五輪化の第一歩で、五輪マークを使わせる権利と引き換えにスポンサー企業を募り、テレビ局からも巨額の放映権料を取り出したことは有名でしょ。テレビ局は当然、ビッグビジネスにするために開催前から五輪偏重の放送内容になるし、より情動に訴えるようなコンテンツにするわけだ。気がつけば、みんなテレビを見たくて仕方がなくなる。つまり、テレビと強く結びついた時に、五輪は洗脳の道具となったのね。

――確かにテレビがなければ、ここまで盛り上がることはなかったですよね。

苫米地 だろうね。五輪を現場で見てる人ってすごく少ないよね。パリ五輪の総観客数は1500万人以上って話もあるけど、一人がいくつもの競技を見るから、延べ人数でいったらその数分の1。対して、視聴者数は、東京五輪の時で30億人っていわれてる。この人たちはいわば“お客さん”だけど、当人たちはそんな意識もなく、「五輪という経済活動にみんな参加せよ」という教えを植え込まれてしまっているわけ。

――洗脳と金儲けが合体したと。

苫米地 そして、五輪を目指すことは素晴らしいことだという教育へと衣替えまでしたわけね(笑)。この手法はサッカーのワールドカップや世界陸上、WBC(ワールドベースボールクラシック)なんかもそうだよね。ロス五輪以降、スポーツイベントを土台にした教育的プライムコンテンツは着実に増えていった。これが今の世界の流れで、すでに世界がそうなってしまったあとは、主催者側が洗脳する必要がないわけだ。奴隷が奴隷を選ぶ世界が訪れるんだよ、自分たちで。

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