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第1特集
ファッション誌編集者が語る、一流ブランド広告のカネ回り

ファッション誌編集者が語る「ブランド広告とカネ」 その"キケンな関係"

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──青文字系からティーン誌、さらにはハイブランド系まで、女性ファッション誌の現役編集者が勢揃い。最近要注目のファッション誌の動向から純広告、タイアップ記事などページ制作のウラ側、さらにはあの有名カメラマン、スタイリストのウラの顔まで、現役編集者しか語れない赤裸々トークを一挙大公開!

[座談会参加者]
A:大手版元ハイブランド誌編集者
B:大手版元ティーン誌編集者
C:中堅版元青文字系フリー編集者

A 最近話題のファッション誌といえば、13年4月に創刊した「DRESS」(幻冬舎)かな?

B 発行元は、幻冬舎が立ち上げた子会社「gift」で、最高顧問が秋元康、名誉会長がエイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人、会長が幻冬舎の見城徹、副会長がサイバーエージェントの藤田晋、社長が美魔女ブームの仕掛け人で「DRESS」の編集長でもある山本由樹と、そうそうたるメンバーだけど……「STORY」(光文社)の二番煎じというか、失敗してるよね。

A 同誌に広告を出したブランドからの悪評も高い。創刊号に入った広告の総額は2億5000万円なんて報道もあったけど、タイアップページの色校をクライアントが最終確認できないぐらいギリギリの進行だったとか。あるブランド担当者なんか「もう絶対に出稿しない」って怒ってたから、あの調子じゃマズイよ。

C 2億5000万円はすごい金額だけど、正直なとこファッション誌って、広告費が2000~3000万円は入ってこないと制作費に追いつかないのが実情ですよね? サイゾーさんには想像もつかないだろうけど(笑)。

B ですね。ただ、雑誌にブランドが広告を出す際の1ページ当たりの単価は、時と場合によってマチマチだったりはするけど。ウチだったら、純広告で1ページ当たり約180万円あたりが定価だけど、代理店がだいたい7割くらいまでは下げて売ってるだろうし、それでも埋まらない広告ページがあれば、もっとディスカウントしているはず。

JC・JKの王道モテスタイル!
『Seventeen』

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(絵/都築潤)

集英社発行のティーン誌のトップ誌で、31万部発行。1968年創刊。クラスでいちばんかわいい子が着ている王道カジュアル。モテに寄りすぎず適度にカジュアル、適度にセクシー。


A もっといえば、雑誌によってはハクがつくからってタダで純広告を載せるってケースもあるでしょう。例えばアヤしいのは「Numero TOKYO」(扶桑社)。最近は青木裕子や沢尻エリカを出したりと、オシャレ×スキャンダラスみたいなウサン臭い企画で話題だけど、純広告にはシャネル、グッチ、ルイ・ヴィトンあたりのブランドがズラリ。でも、よくある話だけど、表2表3はモード誌としての体裁を保つためにタダで入れてるんじゃないかな? 結局、日本でハイファッション・ブランドが広告を打つとなると、まず「VOGUE JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)、「SPUR」(集英社)、それから「ELLE japon」(ハースト婦人画報社)あたりにいきますからね。

C 確かに「Numero TOKYO」は儲かってなさそうですよね。企画も迷走してるし、話題の芸能人を4人ぐらい出して無理やりページを埋めてるって感じ(笑)。

B 一方で相変わらず強いのが宝島社系。特に「sweet」は頭ひとつ抜けてる。売れる勝算がある号では、いまだに100万部刷ってるって聞くし。「InRed」も、号によっては60万~70万部は刷るらしいよ。

C ブランド側も「広告は『sweet』に出しておけば安心」みたいな感覚でしょうね。宝島社系はそもそも広告費の単価自体はそれほど高くないし、ブランド側の意見をいろいろくんでくれるからクライアントもやりやすいと聞いたことがあります。集英社の雑誌なんかは、良くも悪くも編集側がプライド高いしきっちりしてるから、そう簡単に企画をブランド側の好き勝手にはさせてくれないとか。

A だからこそ、いろいろなブランドの付録を展開できるんだろうね。カジュアル系の人気ブランド・Cherのトートバッグなんて、ほんとそこらじゅうで見たしなぁ。国内老舗のツモリチサトやzuccaあたりのA-net系ブランドとも、付き合いが長いからか、かなり仲がよさそうだよね。

C モード系ブランドのマルタン・マルジェラと宝島社の「SPRiNG」が組んで、07年に付録付きムック本を出したときは、さすがに驚いたなぁ。あそこ、雑誌コラボとか嫌いそうなブランドなのに。

B まぁ、宝島の雑誌にはそれだけ影響力があるってことだろうね。ああいう1冊まるごとのブランドムックも、ブランドによって制作費はきちんと出るところから、タダ同然のところまであるらしいし。知り合いの話だと、今回の春夏で6号目になるツモリチサトのムック本は、編集協力費が少し支払われたのみで、広告費ゼロで請け負い続けてるらしいよ。宝島からしたら、全ページ分の広告費をもらえなくても、ツモリチサトクラスならどうせ確実に売れる保証があるし、メリットはあるんだよね。ブランド側だって、店舗での販売用に数千冊ぐらいは買い取ってくれるわけで。

A ブランドムックって、毎シーズンのカタログにもなっているからね。知名度がそこそこのブランドからしたら、買った人が新作をチェックしてくれる上に、付録を持ち歩いて広く宣伝までしてくれるんだからメリットは大きい。ブランド側も宝島社側もうまく利用し合っている、と。

C 付録といえば、宝島社が中国に付録専門の工場を持っているっていうのは有名な話ですよね?

B そう。だから編集部の人は、仕上がりを見るためによく中国出張へ行くんだって。

C ところで、広告費をもらって編集サイド主導で記事を作るタイアップ記事って、どんな感じ? 基本的には代理店を挟んでやりとりすると思うんですけど、普通の編集記事と同じ1カ月ぐらいで制作してますよね。タイアップだと、クライアント確認もあるから進行スケジュールはキツくなりがち、本来ならもっと余裕をもって制作したいんだけど……。

A その上ブランド側は、たいてい読者の支持を集めるその雑誌の人気モデルを使うことを条件にしてくるしね。で、スタイリスト、カメラマン、スタイリングの方向性までコントロールしたがるところもあれば、ブランドの服さえ使ってくれればあとは雑誌のカラーで自由に企画してください、みたいなところもある。「SPUR」、「GINZA」(マガジンハウス)みたいなモード誌以外の、タレントモデルが雑誌の顔になっているような大部分の雑誌に対しては、ほぼ100%モデルは指定してくるよね。

B 青文字系ブームの走りである「Zipper」(祥伝社)は、モデルを指定されることは多いものの、企画の自由度は高いって話。あそこの場合は、ネ・ネット、キャンディストリッパー、最近だとアールエヌエー、ジュエティみたいに、雑誌と一緒に成長したブランドが多いから、ブランド側も雑誌を信頼して自由なページ作りを許しているんでしょう。

ド派手な自称カルチャー好き!
『Zipper』

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(絵/都築潤)

祥伝社発行の青文字系の雄。14万部発行。1993年創刊。なにはともあれ、いま「青文字系」といえば「Zipper」、そしてきゃりーぱみゅぱみゅ。ド派手でポップなカラーリング、自称カルチャー好き、原宿、自分流のオシャレ、でもしょせんは底が浅い!?


A 大手のブランドになればなるほど、企画に対して口うるさいよね。周囲の話を聞く限り、一番はシャネルですかね。国外のメゾンブランドはもちろん、国内だと業界第3位のワールド【アクアガール、インディヴィなどを展開】をはじめ、20~30代御用達ブランドの多いサンエーインターナショナル【ジル スチュアート、フリーズショップなどを展開】や三陽商会【エポカ、マッキントッシュ フィロソフィーなどを展開】、オンワード樫山【ジョセフ、トッカなどを展開】などのアパレル大手は、得てして面倒くさい。こっちの意見なんてまるで無視して、ブランドの意図通りの誌面作りを強硬に求めてくる。

C 広告とはいえ編集主導のページだから、本来なら口出しされる筋合いはないはずなんですけどね。企画を立ててからスタイリングを確認してもらうまではいいけど、特にやっかいなのが撮影現場。たいてい代理店とブランドのプレス担当者が立ち会うけど、撮影のファーストカットとか……。

A ファーストカットは、めちゃくちゃ時間かかるときがありますよね。タイアップの撮影は一度撮ったらパソコンのモニターで写真を確認していちいちクライアントにお伺いを立てたりしなくちゃいけないから、まあ面倒くさい。そのうえクライアントから「この服のここのディテールを見えるようにして」「ソファーを動かして」「髪形変えて」みたいな注文を延々とつけられて。その時は、さすがにモデルも怒っちゃいました。

C 写真の差し替え要求も多いですよね。撮影に立ち会っていないそのブランドのお偉いさんが、現場の事情も知らないでそういうことを言ってくる。

B 代理店の担当者がうるさい場合とブランドのプレスがうるさい場合とどちらもあるけど、結局は担当者によるんだよね。アパレルの場合、広告代理店も、大手海外ブランドなら電通・博報堂、中堅だけどアパレル系に強いコスモ・コミュニケーションズ、双葉通信社などさまざまだけど、特に大きな代理店ほど、いまや雑誌部門ってその会社の花形部署じゃないから仕事ができない人も多いし、クライアントのただの御用聞きみたいな人ばかりなんだよなあ。

大御所カメラマンには編集も口出しできない!?

生きるのがうまいアラサー女子の模範!
『sweet』

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(絵/都築潤)

宝島社発行のお化け雑誌。号によっては100万部を超えることも。1999年創刊。生きるのがうまいアラサー女子の神的雑誌。強めガーリー女子、みたいな。梨花、YOU、吉川ひなの、安室奈美恵。カジュアルすぎずセクシーすぎず、ほどよくオトナっぽいエロさがただよう。


A 純粋な編集記事でも、宝島社系は社内の広告部がうるさいみたい。ファッション誌って、取り上げたいブランドを列挙した「フォローリスト」があるでしょ? 誌面で使う衣装の手配にスタイリストをそのブランドに行かせてコネクションを作るためのものっていう意味合いも強いけど。そのブランド数、宝島社系の場合は尋常じゃなく多いらしいんですよ。

C スタイリストは、ほんと大変だよね。以前、「ViVi」(講談社)や「sweet」で引っ張りだこの有名スタイリスト・風間ゆみえさんが自分の本を出すときに、「気が乗らない」って理由で撮影が流れたなんて話があったけど、そんな偉そうなこと言えるのはごく一部じゃない?

B でも、大手ブランドと付き合いがあるスタイリストになると、タイアップでもないのに、特定のブランドのアイテムばかりスタイリングに紛れ込ませてきたりする例も。いくらキックバックをもらってるのか知らないけど、特定のブランドの衣装を多く使うなら、版元としてはちゃんと出稿してもらいたいのに……って。ベテランでいいスタイリングをしてくれる方でも、そういうことがあまりに顕著だと、出入り禁止にしたりということもあるね。

C 気を使うという意味では、大御所カメラマンも付き合いづらいですよね。大御所すぎて、撮影はもちろん写真のセレクトにも編集が口出しできないこともあるし、現場もピリピリする。例えば80年代から国内外のファッション誌で活躍してきたNAOKIさんは、ある雑誌の表紙で一度だけ別のカメラマンを使ったら、それ以降二度と撮ってくれなかったとか。

B 本家「VOGUE」の表紙はワンカット4000万なんて話もあるし、バリバリファッション畑のカメラマンはアーティスト気質なんだよね(苦笑)。アラーキー(荒木経惟)とかも、好きに撮らせてあげないと難しいらしいよ。ある雑誌の打ち合わせで、編集者が雑誌側の希望をアレコレ伝えたらとたんに不機嫌になっちゃって、撮影後も写真のセレクト作業はせず、フィルムをまるごと「はい」って渡されて終わっちゃったとか。

A 人気のあるカメラマンには気を使うよね。今でいえば、まきうらオフィスの中村和孝さん。あらゆる人が撮ってもらいたいと思ってるから、安室(奈美恵)ちゃんや平子理沙ちゃんとか、タレントやモデルからの指名が多いこと多いこと。

C PEACE MONKEYの曽根将樹さんも人気ですよね。ただ、若手の人はそんなに突拍子もないことを言ってくるわけじゃないしね。それよりも、レタッチ【デジタル写真の補正】代をやたら請求書に乗っけてくるカメラマンのほうをどうにかしてほしいよ。

B 表紙を撮るようなクラスのカメラマンは、レタッチ専門にやるレタッチャーをわざわざ抱えてたりするから、その分コストもかさむんだよね。まぁ、とはいえファッション誌はまだ雑誌の中ではお金を持ってるほう……だよね。

C 「GLAMOROUS」「Grazia」(共に講談社)は7月に休刊するし、不況は不況なんでしょうけど、「sweet」や「ViVi」など、まだまだ堅調な雑誌も多いですからね。

A 安泰とはいえないけど、活字系の媒体とは違って、まだまだ紙であることに優位性が残っているジャンルなだけに、宝島社みたいに調子のいい雑誌の編集部を海外旅行に連れて行くような会社もあるわけで。

B その代わりあそこは馬の世話しなきゃいけないけどね。

C あの出たがり社長の蓮見清一さんは、乗馬が趣味でいらっしゃるからね(笑)。

(構成/有馬ゆえ)

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