サイゾーpremium  > 特集  > タブー  > 食肉利権も氷山の一角? 食にまつわる【利権総覧】
第1特集
"食"にまつわる利権構造を紐解く【2】

食肉から水、農協に築地移転…図解"食"利権の構造

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──その産業規模から、“農水族”といわれる議員が跳梁跋扈し、業界団体が乱立されるなど、利権にまみれた食品業界。利権の根深さ、影響力の強さを“危険度”として、その構造と内情を探った。本当に“美味しい”思いをしているのは一体どこ!?

【利権1】水利権

■海外企業が日本の水を枯渇させる!?
危険度★★★★★

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(絵/カズモトトモミ)

 水に関する利権では、水道事業を運営する自治体とコンサルタント、メーカーが天下りなどを通して癒着し、割高の設備を発注・受注するという構図が一般的。水道インフラに関しては、ウォーターバロンと呼ばれる海外企業の寡占状態も問題視されている。

 そんな中、現在注目されているのは地下水をめぐるビジネスだ。日本の地下水は取水に対する規制が緩く、土地さえ購入してしまえば際限なく採取が認められている。そんな現状に各企業が目をつけ、地下水をミネラルウォーターや工業用水として利用しているほか、外国企業などによる水源購入の動きも出てきており、日本の水資源の枯渇が心配されている。水問題に詳しいジャーナリストの橋本淳司氏によると、「仮に今後規制ができたとしても、現在、地下水をくみ上げている企業には、採取の継続を認める可能性がある」。現に、行政が管轄している河川の取水権である「水利権」の場合、制度制定前から河川の水を利用していた農家などには「慣行水利権」を与え、許可申請を免除している。規制が緩い今なら、地下水の既得権が取り放題の状態なのだ。

【利権2】食肉利権

■肉の“ウマ味”は未だ衰えず
危険度★★★★☆

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(絵/カズモトトモミ)

“食肉利権”では、BSE問題に絡み、04年、政府の国産牛買い上げに際し、輸入牛を国産と偽って補助金を騙し取ったハンナンの元会長・浅田満の名前が真っ先に挙がる。溝口敦氏の『食肉の帝王』(講談社)などに詳しいが、浅田は「食肉のドン」と呼ばれ、一部の国会議員を始めとした政官との癒着を背景に、公共事業にも食い込んでいたとされる。また、大手食肉卸業者のフジチクも、同様の容疑で立件されている。業界を長年取材する情報紙記者は、「フジチクは公的資金も流れている名古屋の卸売市場を私物化し、自社への利益誘導を行っていた。食肉業界は、メディアでも指摘されている通り、同和団体と深くつながり、捜査当局も及び腰だったが、一連の事件後は監視を強めている」と言う。

 だが、同記者は温存されている食肉利権のひとつとして「豚肉の差額関税制度の問題」を挙げる。「豚肉には基準輸入価格が設けられ、安価で輸入した場合、その差額に対して課税される仕組み。しかし、購入額をごまかして高値で申請し、脱税する事件が後を絶たない。しかも、関税は通常、財務省の管轄だが、なぜか豚肉の差額関税制度だけは農水省の管轄。歪んだ制度を温存したい勢力が、政官と癒着しているとみていい」(同)

【利権3】農協利権

■TPPを前に最後の悪あがきか?
危険度★★★☆☆

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(絵/カズモトトモミ)

 かつて農作物の流通を一手に担っていた全国農業協同組合連合会(農協)について、その殿様商売に対する批判は多い。現在、農協は「国内農家の保護」を名目に、関税撤廃を推進するTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加に対して反対の風向きが強いが、その背景には自分たちの利権保持という思惑があるとされる。安価な海外農作物との価格競争に晒された結果、有力農家が“農協の中抜き”から離別することを恐れているのだ。すでに一部では、農協を通しての流通コストを嫌い、大手スーパーなどと直で取引する農家も出てきている。かつては組織票で“農水族”と呼ばれる政治家を輩出し、政界にも大きな影響力を及ぼしてきた農協の崩壊も近いのか? 政治と食の関係についてはこちらの記事でも詳細に報じている。

【利権4】築地利権

■移転反対派が排除された!?
危険度★★☆☆☆

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(絵/カズモトトモミ)

 土壌汚染が指摘された豊洲に、築地市場の移転計画が持ち上がった問題で、豊洲の開発や築地の再開発をめぐるゼネコンと東京都の癒着が噂されていたが、今年に入って計画の延期が発表された。しかし、現在推進されている五輪の東京招致に成功すれば、現在の築地市場周辺の再開発は必至。今後、移転を望む勢力による巻き返しがないとは言い切れない。

 築地市場の取材を続けるジャーナリストは、「築地には大卸と仲卸の組合が設けた『決済センター』という仕組みがあり、仲卸の支払いが滞った場合は、決済センターが代払いすることになっています。豊洲移転が盛り上がりを見せる中、決済センターは仲卸への支払い条件を厳しくした。豊洲移転をにらんだ仲卸の選別と見る向きもあった。また、移転反対派の仲卸には支払いの猶予を与えないなどの嫌がらせが横行したとされています。それを証明するかのように、06年頃から仲卸の倒産が相次いでおり、調査をしたところ、潰れたのは移転反対派ばかりだったのです。移転推進派の中には東京都の意向をくんだ有力な仲卸もいるといわれています」と語る。五輪招致が成功した場合、同問題の再浮上は免れないだろう。

(文/宮崎智之)

“安心・安全”をめぐって協会・団体が乱立!?
その他の“食”利権

 小誌2013年3月号でも報じた通り、「特定保健用食品(トクホ)」をめぐって、商品の有効性や安全性を分析する「独立行政法人国立健康・栄養研究所」、審査をサポートする「公益財団法人日本健康・栄養食品協会」が、厚労省の天下り機関になっているという指摘がある。さらに、日本健康・栄養食品協会の正会員には、認可を受ける側の食品メーカーが名を連ねており、健康志向を食い物にした利権が疑われている。

 そのほか、農水省が管轄するJAS法の登録認定機関は、農水省OBの天下り先と目されている。表示法については、JAS法以外にも厚労省管轄の食品衛生法などが存在しているが、こうした食品表示法が乱立する背景には、天下り先として、業界団体ら各関係機関などの確保という目的があるようだ。

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