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第1特集
"食"にまつわる利権構造を紐解く【1】

食肉利権も氷山の一角? 20兆円超えの”食”業界を蝕む利権と癒着を紐解く

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──2011年の食品業界の業界規模は約17兆3183億円、飲食業界では約3兆8552億円と、生活から切り離せない“食”業界は巨大な業界規模を誇っている。半面、こうしたビッグビジネスの裏には、当然“美味しい”利権が存在する。04年に偽装牛肉事件でメディアから注目を浴びた「食肉利権」、現在TPPへの交渉参加で取りざたされる「農協利権」がその代表格といえるだろう。本稿では、こちらの図と共に、至るところに跋扈する“食”にまつわる利権の内情を見ていく。

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(写真/三浦太輔 go relax E more)

“食”にまつわる議論で、昨今、新聞や経済誌で大きく取り上げられているのが、水ビジネスだ。すでに住友商事はイギリスの水道事業者を買収、そのほか伊藤忠商事や三井物産などが水ビジネスへの参入を始めている。

『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)などの著書があるジャーナリストの橋本淳司氏によれば、 ネスレ、ペリエ、コカ・コーラといった飲料メーカーや、ダノングループ、モンサントら食品関連会社が世界中で水源地を買い漁っているという。さらに今、中国系の企業が日本の水資源に目をつけているというから穏やかではない。

「中国系企業は、日本の企業に土地を購入させるなどの手口を使っているため、実態は不透明です。最近では埼玉県・秩父の水源林が購入されたという噂に対し、埼玉県知事が答弁しましたが、やはり実態の把握は困難ということでした。このまま何も対策を練らなければ、日本は“東アジアの水くみ場”になってしまいます」(橋本氏)

 現状を受け、日本企業も地下水に目をつけ始めた。「TOKAIグループは富士の水源を購入し、中国の富裕層向けに宅配水のビジネスも展開しています」(同)。

 また、ある芸能関係者は、「AKB48らのアイドルビジネスにかんでいたパチンコ機器メーカー・京楽産業が『アイドルの次は水事業だ』と水ビジネスに関心を示し、現在、各地で水源を探している」と言う。

 水道事業の癒着に加え、“水ビジネス”は今後大きな利権がうごめく舞台となりそうだ。

 一方、かねてからの利権構造も、その根は深い。一部の同和団体や暴力団とのつながりが強いとされ、“聖域”となっていた「食肉利権」はいまだ残存している。「牛肉偽装で補助金を詐取した04年当時のフジチクは、大手新聞社の県警担当を広報担当、国税局幹部を身内の結婚披露宴に招くなどして、自分たちの利権を守って」(情報紙記者)おり、政官を巻き込んだ癒着で勢力を伸ばし、公共事業にも深く関わっていた。偽装牛肉事件以降は、当局の監視も強まっているものの、豚肉の差額関税制度などの問題は残っている。「豚肉の輸入業者も加入する日本食肉輸出入協会の専務理事は、農水省からの天下り」(同)という指摘もある。

 TPPの参加交渉で注目を浴びる農協も同様だ。日本の農業を取り仕切る農協では、外国企業が日本の農業へ参入する恐れのあるTPPに対し、反対勢力が根強い。

「農協は農作物や畜産品の流通以外にも、肥料や資材の調達、金融事業なども手がけています。資金力のない農家に金を融資し、肥料や資材を買わせ、農家の経営が破綻しても牛などの動産担保を押さえているため、損はしない構造となっています。強大な力を誇る北海道の農協による連合団体ホクレンも含め、そんな手堅い利権を手放したくないのは当然でしょう」(食品専門紙記者)

 しかし、TPP参加を見越して大手流通や小売業と直接取引する有力農家も増えている。「イオンや西友、イトーヨーカドーを有するセブン&アイグループなどは“地産地消フェア”などと称して、地元の農家と組み始めています。現在、企業が農業に参入するために設立する農業生産法人に対する1社当たりの出資比率の上限が10%から25%に増やされるなど、法改正による農業参入への規制緩和が進んでいるのです」(同)

 逆風が強まる中、いまだに農協がTPPに対して強硬な反対姿勢を崩さない背景を、前出の記者は「ゴネることで国内農家保護が名目の補助金をより多くもらえるという魂胆があるのでは?」とも推察する。今後、農協は農家への補助金分配団体として存続していくことも考えられるのだ。

 ここまでは、“食”にまつわる利権を見てきた。次ページからは、今の日本を取り巻く“食”事情を硬軟交えてより多角的に見ていく。テレビやIT業界が食いつく“食とメディア”の蜜月関係やメディアが報じない大手企業キユーピーの闇といった業界の裏側に加え、超人気!? 川越シェフのインタビュー、ゲテモノ珍味流通レポートや女体盛りの歴史などなど……本特集を読めば、いつもの食卓が違って見えるようになるかもしれない……?

(文/宮崎智之)

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