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第1特集
破天荒な男たちが炸裂! 東映ヤクザ映画の歴史【2】

大物ヤクザも多数出演! “ヤクザの教科書”と化した ヤクザ映画”本職”レビュー

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──ここまでは、ヤクザ映画の名門製作会社として名を馳せた「東映とヤクザ映画の変遷」についてリポートしてきた。では、現役のヤクザは、こうした名作ヤクザ映画をどのように評しているのだろうか?

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『ヤクザも惚れた仁侠映画』(宝島社)

 現役ヤクザはやはり……というべきか、「ヤクザ映画好き」が多いという。

「取り締まりはキツくなる一方で、今じゃロクにケンカもできない。だけど映画の中のヤクザは、車をブッ飛ばしてピストルをブッ放したりしてるだろ? ああいうの見るとスカッとする。現実じゃ厄介者扱いだけど、本当はカッコ良く生きたいっていうのがヤクザ。ヤクザ映画好きのヤクザは、描かれたヤクザの姿を自分に投影しているんだ」(関東の広域組織三次団体幹部・30代)

 そんな彼らが好む作品といえば、誰もが知るあの役者ものだという。

『昭和残侠伝』【4】シリーズの高倉健がオレのヒーロー。対立組織からの嫌がらせや挑発にも必死に耐えてきたけど、恩人を殺されたことでついに爆発。ひとりで相手組織へ乗り込んで、相手組員をバッサバッサと斬りまくる。高倉健の作品はこうした耐える男がカッコ良く描かれていて、つい感情が入ってしまう。現実は、上納金の支払い云々に耐えている状況だけど(苦笑)」(同)

 東映ヤクザ映画の項ではその歴史を見てきたが、やはり現役のヤクザともなればカタギ衆とは見るポイントが違うようだ。そこで数多くあるヤクザ映画の中から、現役構成員の高い支持を得る作品を取り上げ、“ならでは”の魅力を探ってみたい。

 まず1作目は、名作『仁義なき戦い』の著者である飯干晃一原作による『やくざ戦争 日本の首領』【11】から。佐分利信と鶴田浩二の主役のほかに菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫など超豪華キャストが出演したことでも知られた作品だ。

「ヤクザだけじゃなく、カタギにもこの作品は当たったのを覚えている。当時はアイドルだった石野真子が『わたしの首領(ドン)』って歌を出してたくらいだからね(笑)。だけど、この映画は『ゴッドファーザー』【12】を意識し過ぎ。いきなり主役の俗称がドン・コルレオーネの“ドン”で同じだからな。組織同士の対立構造や裏切り、家族の絆など、展開も相当似ている。確かに内容は和風だけど、映画素人が見ても、その類似性には気づくんじゃないかな?」(東海地区の50代組織幹部)

 だが、登場人物には好感を持つ者が多いという。

「ドン役の佐分利信もそうだけど、そのカシラ役で傘下団体組長・鶴田浩二は特にいい。ドンを救うために、彼の意向を無視して組織を解散させようとして衝突する。だけど、残念なことに実際こんな組織思いのカシラはいない(苦笑)。普通はドンを追い落とそうと裏工作に奔走するか、いかに上納金を集めるかで忙しい」(関西の広域組織三次団体40代幹部)

 シビアな世界で生きるヤクザ者にとって、キレイ過ぎる話には“何かある”と感じているのだろうか。続いては『仁義の墓場』【13】。メガホンを取ったのは『仁義なき戦い』を撮り終えてから間もない深作欣二だ。

「これはヤクザ界隈でも好き嫌いが分かれる作品だけど、正直、オレはダメだったね。主人公は組の内外でトラブルを起こし、自分の親分を斬りつけ、ついには兄弟分も殺しちまう、まさに歩く“ヤクザタブー”。カタギから見たら、ヤクザはフラフラと楽して生きてるように見えるかもしれないけど、実際はガチガチの組織人。こいつみたいに感情の赴くままに生きてみたいと願ってるヤクザは評価している作品だ。実直で不器用なイメージが強い渡哲也が汚れ役をやってて、そのギャップが不気味だった」(同)

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