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第1特集
もはやマンガ界はウェブを中心に回っている?

エロいコマにグーグル&広告規制が それでも稼ぐウェブマンガの世界

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――紙のコミックと電子コミックの売り上げは逆転してはや数年――。アプリをダウンロードし、電子コミックをスマホで読むスタイルはすっかり定着、今やマンガはオンラインで読む時代だ。その最新事情をウェブコミックを知り尽くしたギョーカイ人3名が匿名で語る。

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左上より時計回りに「少年ジャンプ+」「マガポケ」「ピッコマ」「コミックシーモア」。

A…マンガアプリ関係者
B…電子書籍ストアマンガ担当
C…出版社ウェブマンガ担当者

A 出版科学研究所「出版月報」の統計で電子コミックの売り上げが雑誌を含めた紙のコミックを完全に逆転したのが2019年。21年は電子コミックの売り上げが4114億円と史上最大を更新し、まさにマンガ業界は電子コミックなしでは成り立たなくなっている。

C マンガアプリの会社は上場してないところが多いので正しい情報はわかりにくいけど、最大手のピッコマは月間売り上げ60億、年間で700億円くらいもうかっているのでは、という話もあるよね。

B もちろんその中には仕入れ値とか人件費とかいろいろな経費がかかっているけど、粗利で見ても、そのうち約25%は利益として手元に残っているとみていいのでは。

A ピッコマはもともとカカオトークを手がけていた韓国の企業が始めたサービス。サービス開始から7年ほどたっているけど、ここ3年くらいで一気にブレイクした感がある。

B ピッコマがうまくいったのは、マンガの次の1話を「待てば¥0」だけど、待ちきれない人はゲームアプリの動画広告を見たり、ポイントを買えば無料で見られるシステムにしたのが奏功したから。ただこれは別にピッコマが始めたシステムではなく、先行するcomicoもやっていたけど、いまいち花開かせることができなかった。

C comicoは17年に映画化された『ReLIFE』といったヒット作もあったけど、今は一時ほどの勢いはないかな。

B ただcomicoも韓国資本だけあって、韓国から広がっているウェブトゥーン、いわゆる縦読みのマンガを、うまく本国から調達しているよね。

A ウェブトゥーンがこれからマンガの新しい潮流になっていくことは間違いない。昨年末には講談社のベテランマンガ編集者がウェブトゥーンを手がけたいから退職したとネットで宣言し、話題になった。

C 縦横に読んでいく昔ながらのマンガで育ったおじさんには、ウェブトゥーンは読みにくく感じるけど、今や世界的にはウェブトゥーンのほうが人気。こっちに慣れた若い人は、昔ながらのマンガはコマの順番がわからなくて読めないともいうね。

B 日本ではピッコマに匹敵する人気アプリのコミックシーモアなどは、日本産の作品をメインに日本国内を相手にしているけど、ピッコマは売り上げの半分以上が韓国から独自調達した作品とも噂されている。特に韓国産の『俺だけレベルアップな件』という異世界マンガが20年頃からヒットした。

A 繰り返すけど世界的にはこれからはウェブトゥーン方式の韓国スタイルのマンガが広がっていくことは間違いない。いちはやくそこに気づいた東村アキコは、『私のことを憶えていますか』を日韓で同時配信。日本ではピッコマで配信したけど、韓国バージョンでは韓国風に背景を変更。これが奏功したのか人気が出て、韓国でのドラマ化も決定した。

C 日本のマンガは世界一なんていつまでもタカをくくっていると、いつの間にかガラパゴスになって韓国に追い越されていた、ということだってあり得るから注意しないとね。

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