サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > 山田邦子が感じた動画配信とテレビ出演の差

 本誌2020年5月号「芸能人とYouTubeの親和性」企画において、〈YouTuber・山田邦子〉として登場してもらってから早1年強。昨年の2月に開設した「山田邦子 クニチャンネル」では、芸能人ながらコンスタントに動画を公開し(現在でおよそ160本)、芸能界の裏話をはじめ、趣味の釣りやプロレスに関する動画も積極的に配信している。そんなクニちゃんに動画配信を継続して得られたことや、タレントとしての意識の変化、そして先ごろ発売された著書『生き抜く力』についても、いろいろと語ってもらいました。
(取材・文/佐藤公郎・編集部)
(写真/前原 猛)

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――まず、YouTubeチャンネルを1年継続してみての率直な感想からお聞きします。

山田邦子(以下、山田) あっという間でしたが、この1年でYouTubeにも大きな変化が起きましたよね。コロナ禍という要因もあったと思いますけど、人気芸能人たちが続々とチャンネルを開設して、まさかジャニーズのような現役のトップアイドルまで参入してくるとは、考えてもいませんでした。でも、みんなテレビとは違う形で楽しんでやっていますよね。私も開設してから変わらず続けてはいるんですけど、ちょっとテコ入れといいますか、企画会議をしまして、今後はどんどん新しいことにチャレンジしていこうと思っています。

――具体的にどんなことに挑戦を?

山田 そもそも私自身がYouTubeについて真面目に考えすぎていて、「芸能人がYouTubeチャンネルを持つ=どこか秘密めいた内容でなければならない」という固定概念があったんです。でも、実際はそうじゃないし、1年間続けてみて「私のやるべきことをやったほうがいい」という考えにシフトしてきてる。例えば、もっと華やかで楽しく、かつて私がやっていたようなテレビ番組のような演出で番組を作ってもいいんじゃないかな、って。

――制作スタッフを増員すると?

山田 長く仕事をしている制作会社の方が名乗り出てくれたこともあるんですけど、動画制作専門のスタッフを抱えようと思ってます。制作のプロを投入することで新しいパワーになるし、アイデアも生まれる。ほかにも細かなデータも収集できると思うので、チャレンジの一環としてやってみようかなと。まだスタートしてないけど、ロケに出たり、街に出て収録というのも新鮮ですからね。「こんなこともやっていいんだ!」と思えたことだけでも、だいぶ肩の荷が下りました。ただ、制作スタッフを入れたところで特に何も変わらなかったら、やめるけど(笑)。

――そもそも1年間、続けられるとは思っていましたか?

山田 自信はありましたよ。だって、のんびりやってたから(笑)。「毎日更新しないと!」という焦りも特になく、私なりのペースで続けられたので。継続して得られたことと言ったら、新しいファンの方ですね。

――それは邦子さんをもともと知っていたけど、YouTubeチャンネルの存在を知ったファン、ということですか?

山田 そういう方もいらっしゃったけど、それ以上に「おばちゃん、誰?」と、私のことをよく知らない、まったく知らない若い世代の子たち。動画のコメントに「え、あんた何者?」とか書かれたりするんだけど(笑)、もともとの私のファンの方が「山田邦子でググれよ!」とかコメントしてくれたり。けなし合っているかと思ったら、いつの間にかお互いに励まし合っていたり、新旧のユーザーが建設的なコミュニケーションを図ったりしているんですよ。まるで駅の伝言板みたいなやりとりなんですけどね(笑)。

 ほかにも、趣味で釣りに行くんですけど、離島に行ったときに若い漁師さんから「YouTube、見てますよ!」って声をかけてもらったり。「え、おばちゃんのこと知ってるの?」と返すと、「もちろん、山田邦子さんですよね」「いくつ?」「17歳です!」とか、もうホントいい子。こうした素敵な出会いが生まれるのもYouTubeを始めたおかげなんだな、って感じる。ただ、そうした若いファンの方ができる一方で、登録者数や再生回数の伸びには悩んでます。思った以上に苦戦してる。ただ、「ひとりしゃべりでよくやってるほうだよ」と褒められることもあるので、話芸で40年間やってきた甲斐は出ているのかなと。

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――「タレント・山田邦子」としての意識の変化はありましたか?

山田 歳を取ったな、と思いました。動画では芸能ニュースを取り上げることが多いんですけど、深夜に大きなニュースが飛び込んできても、「へえ、そうなんだ」って飛び付き方が鈍くなってる(笑)。だからもっとワクワクしないとね。今は自分の冠番組もないし、テレビ出演もご無沙汰しちゃってる。だからこそできることって、たくさんあるんですよ。忙しかった時代を振り返れば、マックス20年間は浦島太郎状態だったわけです。Suicaという便利な(IC)カードを利用し、バスに乗っていろんなところに行ったり、運転免許も取得しましたから。

――そもそも「スイカ」と言ったら、邦子さんですからね。ちなみに現在の動画1本の製作費というのは、おおよそどのくらいですか?

山田 基本はゼロ。ゲストを呼べば、その出演料が製作費になるかもしれないけど、こないだ出てもらった松村(邦洋)はタダだし(笑)。ただ、これからは制作スタッフを構えての構成にしていく予定なので、お金はかかってくるでしょうね。

――収益に関してはどうですか?

山田 1カ月食っていけるほどもらえてはいません。すご~~く慎ましく生きていくのであれば、生活できる額面です(笑)。収益はさておき、マイペースで動画を更新しているとはいえ、やっぱりいろんな人に見てもらいたい気持ちはありますね。

――以前の取材では、常に粘着質なアンチが数人いると話されていましたが、現在のアンチとの接し方は?

山田 去っては現れて、という感じで常に3人くらいはいます。それに対して「歳なもので、どーもすみません」と返したりすると、「歳って認めるんだ? ハハハ」とか、ご新規のアンチの皆様にもしっかり対応させていただいています(笑)。ただ、対象が私だけでなく、誰にでもイヤなコメントを残す類のアンチもいらっしゃいますけどね。

――継続して改めて感じたメリットとデメリットはありますか?

山田 「次の動画も期待してます」という言葉をいただけただけでモチベーションにつながりますよね。コロナ禍で細々とではありますけど、舞台やイベントなどの告知をすれば足を運んでくださいますし。デメリットは……まあ、アンチコメントはあまり目にしたくないものですが、この文化のひとつとして割り切っている部分はあります。強いて挙げるのなら……やはり歳を感じたこと(笑)。

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――チャンネルを継続したフィードバックというのはありましたか?

山田 もともと私の生業はモノマネ漫談だったわけで、モノマネを主戦場としている後輩たちから「YouTube見てますよ」とメッセージをもらったりするんですね。それこそコロッケちゃんは同期だし、ノブ&フッキー、みはる、ホリ、私が司会をやってた番組の卒業生も多い。なので、彼らを束ねて同窓会のような特番をやりませんか? と、制作会社に提案したんです。こうしたアイデアが生まれるのも、YouTubeを続けているフィードバックだと感じています。

 あと、去年の5月からABEMAの番組でプロレス解説をやらせていただいているんですけど、とても楽しくて嬉しいです。前の事務所(太田プロダクション)でもずっとやりたかったことだけど、まったく実現しませんでした。それはなぜかって?

 太田プロはプロレスに関心がなかったから。太田の悪いところは、製作、営業ができないんですよね。もうね、がんばらないと。有吉(弘行)がコケたら全部コケちゃうよ、ホント。

――ABEMAはネットテレビですが、YouTubeも含めて、実際のリアルなテレビとの影響力の差は感じますか?

山田 なんだかんだでテレビはまだ強い。ただ、そろそろ逆転するでしょうね。視聴者の設定年齢をはじめ、テレビの仕掛け屋の考えが間違った方向を向いているのは明らかでしょう? テレビの視聴者は高齢者が多い。でも、渋茶で漬物を食べてる高齢者ではないんです。ジーンズを穿き、シャンパンを飲み、ロックンロールもジャズも好きな高齢者なんです。そろそろ広告代理店も、その間違った考えを是正しないと、ネットに置いていかれてしまいますよ。

還暦を迎えても衰えぬバイタリティ――山田邦子の“生き抜き続ける力”

――コンスタントに動画を配信するかたわら、今年の3月に著書『生き抜く力』(祥伝社新書)が発売されました。

山田 本当は出したくなかったんだけどね(笑)。ほら、生きている(芸能人の)方々のことも書くことになるから、迷惑をかけてしまうんじゃないかと。でも、いざ書き進めてみたら、亡くなった方も含め、お手紙のような気持ち、感謝の意を伝えられました。タイトルには「息(を)抜く力」という意味も持たせていて、コロナ禍で気が滅入ったり、報われなかったり、ガッカリするような出来事に見舞われている人たちが増えたと思うんです。なので、私の40年間の芸能生活、生きてきた60年を踏まえて、読んでもらえるみなさんに元気になってもらいたいなと。「ひとりぼっちだな」って感じる時代だけど、それは自分だけじゃないし、人生はあくまで自分が主役。落ち込むような出来事が起きたら、ぜひ読んでいただきたいですね。

――邦子さんのチャンネルで元気をもらう視聴者も増やしたいところですが、目指すは登録者数、何人を掲げますか?

山田 はるか先になるだろうけど、まずは100万人を目指します。そうしたら、みんなにごちそうできますから(笑)。バラエティ40年で培ってきた人脈をフル活用して、動画制作はもちろん、残りの人生も楽しみたいと思います。あと、いま映画の制作も進んでいるんですね。田中壱征監督という、とてもハートフルな映画を撮られる監督で、監督自ら脚本も書いてくださって。沖縄と東京がロケ地なんですけど、こんな時代なので宙ぶらりんではあったんですが、来年公開に向けて動いています。私は芸能事務所の社長役で出演しているんですけど、意地悪ではない良い役を演じているので、完成を楽しみにしていてください。

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山田邦子(やまだ・くにこ)
1960年、東京都生まれ。女性ピン芸人として『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』や『山田邦子のしあわせにしてよ』など初の冠番組を持ち、一世を風靡。現在は芸能活動を軸に、自身のYouTubeチャンネル「山田邦子 クニチャンネル」を開設し、歯に衣着せぬ発言で注目を集めている。今年2月に著書『生き抜く力』を上梓。

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Twitter〈@925_yamada
Instagram〈925yamada
Blog〈https://ameblo.jp/yamadakuniko/

YouTubeチャンネル「山田邦子 クニチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UCaYUegv1fnOwheSpgfiEJIg/videos


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