サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > インド映画市場の変化と裏側

――このところ、Netflixがインドでのコンテンツ制作やライセンス交付などに巨額を投資しているといわれる。実際、グローバルにウケるインド産オリジナル作品も生み出している。なぜ、Netflixはかの国でこれほどの攻勢をかけるのだろうか? そして、それがインドの映画産業/市場に与えている影響とは――。

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現代インドの愛、セックス、人間模様を描いた『慕情のアンソロジー』。(YouTube上の予告編より)

 Netflixは顧客獲得や映像制作のため、インド事業に5億ドル(約500億円)以上を投じている」と報じられている。周知の通りインドは映画大国だが、Netflixオリジナル作品としては未就学児向けアニメ『マイティー・リトル・ビーム』シリーズがグローバルでヒットし、インドのセレブを追ったリアリティ番組『ボリウッドワイフ ファビュラスな日々』(2020年)なども制作。なぜNetflixはインドを重要視し、それに対してインド側はどう応じているのか――。インド映画研究者で、『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995年)など映画の字幕翻訳も手がけてきた松岡環氏に話を聞きながら探ってみよう。

 インドは約13・5億人という中国に次ぐ人口を持つ。さらに、19世紀から移民が始まったインド人は、東南アジアやアフリカ、北米など国外にも1500万人以上が存在し、彼らもインド発の映像の市場として期待できる。これが、Netflixがインドを狙う最大の理由だ。しかも、インドでは映画は国民的な娯楽であり、無数にある過去の名作が配信では資産となる。

「若い人も映画発の昔のヒット曲を知っていて、1950~60年代の映画もよく観られています」

 インドにおけるNetflixの料金体系は、スマホかタブレットのみのモバイルプランが月額199ルピー(約300円)、一度に1画面で視聴できるベーシックプランは499ルピー(約740円)である。

「インドは映画税の違いにより各州で映画料金が異なり、また物価の違う大都市とそのほかでも違いますが、シネコンだとニューデリーで約450ルピー、ムンバイで約250ルピー、南インドのチェンナイで100ルピー台(19年3月時点)。インドは91年から経済発展を始め、特にIT産業、自動車産業、バイオ産業などが発達しました。今や都市部の中間層はお金を持ち、『消費生活を楽しむぞ』という意欲が高い。そのためNetflixの価格は、地方都市在住の労働者階級にはやや高いけれども、ニューデリーやムンバイあたりにいる中流以上の人たちの感覚では安いものです」

 そんなインドでNetflixはオリジナル作品を制作しているわけだが、それ以前は主にインド映画の買い付けをしており、16年のインド市場参入当初は特に大作の配信権を獲得していた。しかし、その後、低予算映画の買い付け、さらにオリジナル作品の制作へと移行。

「映画の権利元が大作の配信権の価格を吊り上げたからかもしれません。衛星放送やテレビ局はヒット作の放映権獲得を狙い、大作だと公開前に約10億円で売れることも。つまり大作を扱うには、そんな放送局と競合せざるを得ない」

 なお、日本のAmazonプライムビデオの場合、日本で公開またはソフト化された作品はほぼ視聴可能で、そこには大作も含まれる。

「Amazonは最近だと、南インド発のタミル語映画のスター俳優ヴィジャイが出演した、『Master』(21年)の配信権を獲得したことがインドでニュースになりました」

 一方、「Netflixオリジナルにはスター出演は期待できない」と松岡氏。インド映画の製作費の大半はスターの出演料が占め、トップスターだと1作で数億~10億円のこともざらだ。だが、それを除けばコストは欧米諸国やアジアの他国に比べても安く抑えられる。劇場公開を前提としないNetflixオリジナルでは、スター以外の実力派俳優などを配し、「歌と踊り」のない作品に注力することで、ローコストだが視聴者数がそれなりに見込めるものが作られている。

スターの代わりに性描写をフックに

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