サイゾーpremium  > 連載  > 西国分寺哀の「大丈夫?マイ・フレンド」  > 『西国分寺哀の「大丈夫?マイ・フレンド」』【60】/アユの【安斉】物語
連載
『西国分寺哀の「大丈夫?マイ・フレンド」』【60】

もはや“浜崎あゆみ”は襲名制にすべき? アユの『安斉』物語

+お気に入りに追加

『安斉かれん』

2009_kalenazumi_200.jpg

歌手・浜崎あゆみの半生を描いたドラマ『M 愛すべき人がいて』が、トリッキーな展開や“あえてのダサい演出”で話題に。主人公アユを演じた安斉かれんも一躍注目を浴びた。こんな感じで安室奈美恵の半生もドラマ化しちゃえばいいのにね。

「どうするんだ? この先……」

 40代独身、低所得である己の今後を嘆いているわけではない。浜崎あゆみとエイベックス会長・松浦勝人氏をモデルにしたドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)で主人公アユを演じた、安斉かれんの今後を心配しているのである。

「いやいや、ドラマ自体話題になったし、一気に知名度を上げたじゃないか」という向きもあるだろう。確かにそうなのだが、“安斉かれん”というよりも“浜崎あゆみ”として認知されちゃっていないか? という心配である。新人がヒット作のキャラクターで認知されてしまうという“あるあるネタ”ではあるのだが、今回は少々ややこしいことになっていると思うのだ。

 昔であれば、事情がわかっていないおっちゃん、おばちゃんが「この娘が、浜崎あゆみかい?」などと素っ頓狂な質問をして、若い子たちから「違うよ。安斉かれんだよ」と訂正される流れがあった。まあ訂正されはしたものの、いまいち状況がのみ込めないおっちゃん、おばちゃんの間違いが正されることはなかったのだが、こういうものは、若い子が把握してさえいれば問題ない。ただ、今回はモノが浜崎あゆみなだけに、むしろおっちゃん、おばちゃんのほうが事情がわかっている。一方であゆを知らない若い子たちのほうが、安斉を指して「浜崎あゆみってこの娘? 意外と若くね?」ということになるかもしれないのだ。

 彼女自身の見た目も「すごいソックリ」というほどではないが、大枠で見るとあゆに似ているというのも拍車をかけている。しゃべり方もだ。最初、役作りなのかと思っていたが、ドラマに出る前から金髪で色白の派手なビジュアルだったし、しゃべり方にいたっては、単に演技が下手で素が出ていたようである。しかも安斉、女優なのかと思いきや歌手であるという。それも、あゆと同じエイベックスの所属。もうね、どんだけ“あゆ寄り”なんだと。むしろ寄り切っちゃうんじゃないかと。我々中年の持つ“浜崎あゆみ像”をオリジナルとするならば、若者の“浜崎あゆみ像”は安斉になってしまうのではないかと危惧するほどだ。

 この流れでいくと、後年「あの時は、イメージを払拭したくてツラかった」と語る定番パターンに陥ってしまう。若い子が、そんな茨の道を進んでいくのをただ見ているのは忍びない。そこでだ、「イメージを払拭」するのが大変なのであれば、むしろ「乗っかる」というのはどうだろう。落語や歌舞伎の襲名のように「二代目・浜崎あゆみ」を名乗ってしまうのだ。本来、同時代に同じ名前を名乗ることはあり得ないが、そのへんは「もう時代は令和なんで」というノリでやり過ごせばいい。そもそも、趣味嗜好が多様な現代において、昔のように全世代に愛されるスターというのは生まれにくい。ならば、前述の世代ごとの“浜崎あゆみ像”のように、屋号の下、複数人で回せばいいのである。もちろん、二代目で終わらせるつもりはない。三代目、四代目と半永久的に襲名し「浜崎あゆみ」という平成のスターを後世に残すという壮大なプロジェクトだ。AI美空ひばりみたいに、急に蘇らせたりするから賛否両論出てくるわけで、ずーっと存在していれば、意外と世間は受け入れてくれるものである。

 そして、襲名する者は儀式として毎回『M 愛すべき人がいて』の主演を務めるのだ。シリーズを重ねながらブレイク後から現在までのストーリーを追いかけてもいいし、なんなら安斉かれんが二代目・浜崎あゆみを襲名するまでを描いてもいい。ネタが尽きたら、今度は松浦氏目線のストーリーを展開するのもアリだろう。一瞬、幻冬舎・箕輪厚介氏の失脚の発端となり、出版中止となった松浦氏の幻の自伝本も、そこに当てたらいいのではないかと思ったが、そうなると松浦の「M」なのか箕輪の「M」なのか、よくわからないことになってしまうので、やめておこう。

 もし、短期間で『M』の続編が決まり、安斉が続投するということになれば、彼女自身も「あゆのイメージ」がつくことに抵抗はないという証拠。そして、今さら言うのもなんだが、ひょっとして最初っから「あゆのイメージ」で売っていこうって決まってた? そう考えるとつじつまが合うような気がしてきた。それが、あゆの発案なのか、松浦氏なのか、はたまた箕輪氏によるものなのか……だとすると、見事術中にはまってしまったわけだ。ただ、結局のところ、このドラマにおいて一番インパクトがあったのが、眼帯の秘書・姫野礼香役の田中みな実の怪演だったわけで、「やっぱ、コピーより個性のほうが大事やで」という元も子もない結論に達したのであった。

西国分寺哀(にしこくぶんじ・あい)
「M」というとプリンセス プリンセスのほうも思い浮かべてしまう40代独身男性。自らの半生を小説で描こうとしたが、愛すべき人がいないため断念した。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2022年6・7月号

目指すはK-POP? ジャニーズ進化論

目指すはK-POP? ジャニーズ進化論
    • 音楽業界からの【賛辞と批判】
    • 【芸能プロ】的戦略が抱える2つの“矛盾”
    • 令和の【ジャニーズ・シングル】20選
    • 20年代のジャニーズ【ミュージックビデオ】

移ろいゆくウクライナ避難者

移ろいゆくウクライナ避難者
    • 移ろいゆく【ウクライナ】避難者

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

サイゾーパブリシティ