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「ファンキー・ホモ・サピエンス」【74】

【Lizzo】ラップ史上初の快挙!? 女性MCたちの一斉開花

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『Cuz I Love You』

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Lizzo(販売元:ワーナーミュージック)
冒頭、明るくも切なく歌い上げるリズム&ブルースなタイトル曲だけで、その多才さを見せつける大傑作。先行シングル「Juice」はプリンスの香りも漂う80年代ファンク・ポップ。ロック/トラップな「Tempo」にはミッシーが参加だ! 「Truth Hurts」は、なんとK-POPグループのAB6IXが参加したリミックスも9月末にリリース済み!

 あれはたぶん「BURRN!」だったのだろう。

 20年ほど前に読んだ音楽誌の記事。そこには「メタル側から見たヒップホップとの意外な共通点」が見事に解説されており、私は膝を打ったものだ。

 いわく、どちらも発祥の地は英米大都市(メタルならロンドン他、ヒップホップならニューヨーク)のインナーシティ。そこに住まう労働者階級の若年男性たちによって築かれた音楽であり、その詞や姿勢には――残念なことに――ホモソーシャル(女性排除)でミソジニスティック(女性蔑視)な傾向が見られる。

 そして実際に、それらの音楽の送り手となっているのは、ほとんどが男性である、と。メタル界を見てみれば、それが紛れもない事実だとわかる。では、ヒップホップ界ではどうだろう?

 シュガーヒル・ギャングの「Rapper's Delight」から40年。その歴史を通じて、ヒップホップにおける女性ラッパーは常に非主流だった。07年以来、米ヒップホップ雑誌「XXL」が毎年選定している「今年の注目新人」コーナー〈Freshman Class〉を見ても、それは明らかだ。そこで取り上げられてきたラッパー合計113人のうち、女性は6人しかいない。これは露骨。

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