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「ファンキー・ホモ・サピエンス」【75】

【m-flo】在日、ラティーナ、トレッキー。多様性を体現する3人の帰還

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『KYO』

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m-flo(販売元:rhythm zone)
やはり、この3人ならではのマジックがきらめきまくるアルバム。レゲトン界の伊達男、J・バルヴィンが歌う「HUMAN LOST」は、もしかしてm-flo史上初の本格スペイン語サビ? しかしカリビアンな要素は、むしろJP THE WAVYをフィーチャーした「Toxic Sweet」で光る。20年間紡いできたストーリーは、まだ続いている!

 今や、ONE OK ROCKにカバーされた「To Feel The Fire」をスティーヴィー・ワンダーがセルフリメイクしたら、「俺たちのワンオクのカバーするとかふざけてんだろ。誰だよこの外国人」といった意見が噴出する時代。つまり、視野の狭さに合わせて自己完結する邦楽リスナーが増殖しているのだな。それはそれで面白いが、20年前の状況を思い出してみよう。

 1999年の日本――そこには、ちょっとした「日本語R&Bブーム」があった。その流れを先導した宇多田ヒカルとMISIAは今や別世界の人なので想像しづらいだろうが、とにかく彼女たちの「Automatic」や「つつみ込むように…」といったヒットに新たなマーケットの可能性を見出したレコード会社各社が、国産R&B(とヒップホップ)を売り出そうと奔走した時代である。

 良いものもヒドいものもあったが、総じて、我々のような洋楽リスナーがダブルスタンダードを適用せざるを得なかったのは事実だろう。つまり洋楽に慣れた耳で邦楽R&Bを聴く際は、合否ラインを下げるのである。

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