サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > "グラビア"は女性にとって悪か?【1】/【#MeToo時代】の問うグラビアの是非

――日本のマンガ雑誌や週刊誌では“伝統的”に掲載されてきた水着グラビア。しかし、それはやはり、フェミニズムにおいて批判の的となり得る“女性表象”なのか――。ポルノグラフィやセックスワークに関する議論も参照しながら、#MeToo運動が巻き起こったこの時代にグラビアの是非を大マジメに問う!

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何十年にもわたりグラビアのためのメディアとなってきた週刊誌。

 書店やコンビニで流通するマンガ雑誌や週刊誌の多くは、表紙や巻頭に水着姿の若い女性を撮ったグラビア写真が掲載されている。かくいう本誌も毎号グラビアを載せ、今号に至ってはグラビア特集を組んでいる。このグラビアを日本独自の写真文化と評価する声もあるが、一方で近年は“#MeToo”運動などの流れもあり、単に称揚してばかりもいられない時代になっているのではないか――。ここではフェミニズム論やジェンダー論においてグラビアがどう議論されてきたかを3人の識者に取材し、論点を整理した上でグラビアのあり方を考察する。

 もっとも、フェミニズムの文脈で“グラビア”のみがピンポイントで議論されたことはない。東北学院大学准教授の小宮友根氏は、このように語る。

「芸術作品における女性のヌードの描き方やポルノグラフィ、広告における女性の表象の仕方など女性表象に関する議論があり、グラビアをめぐる議論もそのひとつです。共通するのは、いずれも女性を性的に客体化しているという批判です。性的に客体化するとは、胸やお尻など身体の特定の部位ばかりを強調したり、意味もなく水着にさせたり扇情的なポーズを取らせたりすることで、女性がヘテロセクシュアルの男性の欲望に応える存在へと還元されて表象され、そこに女性自身の主体性や自律性を見いだすのが難しいような表現が行われることです」

 ただし、女性を性的に客体化することがなぜ悪いのかについては、フェミニズムの中でも議論の変遷やバリエーションがある。例えば、特にポルノに対する古典的な批判として「性暴力の原因になる」というものがあったが、現在は下火になっているという。

「その中で、女性に対する性的な客体化そのものというよりは、それが不平等な形で行われていることが問題であるとの見解も生まれ、私自身の考えもこれに近いです。つまり、問題を特定の表象単独で考えるのではなく、社会の中で性的な客体化が女性に対してばかり行われている現実との関連で捉えるということです。女性が外見や身体部位にばかり注目されることは、表象以外のさまざまな場面でもあります。“美人すぎる○○”というキャッチコピーが多用されたり、“マナー”として化粧やヒールが要求されたり。多くの場合、それは女性の意思にかかわらず一方的に外側から行われており、場合によってはセクシュアル・ハラスメントになり得る。女性へのそうした扱いが、社会における男性と女性の不平等な関係を表していると考えられます」(小宮氏)

 そして、この女性の性的な客体化に対する批判は、世の中に氾濫しているグラビアの多くに対しても当てはまるというのが小宮氏の見立てだ。他方で、グラビア・アイドル自身に主体性や自律性を見いだすことはできないか? つまり、彼女たちはグラビアという仕事を好きでやっているという見方も可能ではないか?

「もちろん、主体性を持ってやっている方もいると思います。ただ、女性が主体性を発揮できる職業の選択肢の中に、ヘテロ男性の性的欲望に応えるようなものが多くあることをどう考えるか。ポルノやセックスワークと同様に、グラビアも産業として存在しているわけです。逆に企業における就業継続率や管理職割合などを見ると男女差は明らかで、職業的選択肢は男女間で極めて非対称です。要するに、女性には男性と同じように働き続けて経済的に自立するための選択肢が用意されていない」(同)

 このように、経済的・政治的に女性が自立しにくいことと、社会の中で女性が性的に客体化されていくことは、表裏の関係にあると小宮氏は指摘する。

「その関係が緩和・解消されていけば、女性の職業的な選択肢も増えていくし、女性の主体性の発揮の仕方も、今より多様な形で行われるようになっていくのではないでしょうか」(同)

 また、冒頭で触れたように弊誌を含め表紙にグラビアを掲載している雑誌は多いが、そこに必然性があるとは限らない。つまり、グラビアを載せたほうが売れるからそうしているケースもある。

「誰に売りたいのか、読者としてどういう人を想定しているのか、という問題ですね。私のいる研究業界でも、ひと昔前だと学会の後の懇親会に女性コンパニオンを呼ぶなんてこともあったそうです。要は、参加者としてヘテロ男性しか想定していなかったわけですね。あるいは、自動車やビールの広告に水着姿の女性が起用されていたとして、その車を運転したり、ビールを飲んだりするのは誰なのか。そこに表象の作り手の想定が表れるわけで、売り手としてそれでいいのかということが問われる時代になっているのです」(同)

ポルノ禁止派とは異なるフェミニスト

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