サイゾーpremium  > 連載  > 小原真史の「写真時評 ~モンタージュ 過去×現在~」  > 小原真史の「写真時評」/台湾と内地観光団(下)
連載
写真時評~モンタージュ 現在×過去~

台湾と内地観光団(下)

+お気に入りに追加
1908_P124-127_02_520.jpg
士官学校を見学するタイヤル族ら(1918-1932年頃/著者蔵)

 1897年、台湾総督府は台湾原住民を対象とした内地観光事業を始めた。現地有力者に対して士官学校【上画像】や兵営、軍需工場、軍事演習といった軍都の威容を見せることで、自分たちの無力さを思い知らせ、抵抗の目を摘もうというのだ。あるいは皇居や神社仏閣、近代的な都市、娯楽施設などの見学を通して日本の優越性を知らしめ、感化し、威嚇し、懐柔するというのが、台湾の植民地官僚の企図したところであった。こうした方法は、欧米諸国が植民地や居住地の原住民を都市部に連れてきて、その先進性を見せた後に再び送り帰す、という先例を踏襲していた。

 1930年10月、台湾中部山地の霧社でセデック族約300名が武装蜂起し、霧社公学校の運動会に集まっていた内地人134名と台湾人2名を殺害するという第一次霧社事件が起こり、内地観光事業は一時的に中断されるものの、太平洋戦争の直前まで断続的に続けられている。ここで詳しく述べる紙幅はないが、事件の指導者モーナ・ルダオが内地観光団の参加者であったことは、必ずしもこの事業が為政者側の狙い通りの印象操作ができていなかったことを示しているだろう(山辺健太郎編『現代史資料22 台湾2』みすず書房、1971年)。命じられた観光に対する不満や内地人との不平等性への気づきが反発を招くこともあったのである。また逆に、霧社事件の際に「味方蕃」として討伐に参加した台湾原住民の姿があったことも付言しておこう。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2020年2月号

新しいニッポンのタブー

新しいニッポンのタブー
    • 暴力団だけじゃない【反社】の定義
    • 【山口組分裂】報道の最前線
    • 【嵐】休止後の芸能界にタブーはあるか?
    • 本当の【氷川きよし】論
    • 【社会学者】きーちゃんを苦しめる疑惑フォーマット
    • 【湯山玲子】ミサンドリー時代に合った戦略
    • 【音楽学者】芸能の性別越境を回復する存在に
    • 【丸屋九兵衛】ヒップホップときよしの交差点
    • 【ANARCHY】初期衝動を落とし込んだ映画
    • 【SEEDA】ラッパーの禁忌な生き様を描く
    • 世界の過激な【保守派リーダー】
    • 【元芸人】が政治の世界に進出するワケ
    • 【アナ雪】ステマ問題ほんとの戦犯
    • 時代を先取りする【新・麻薬王】の肖像
    • 【医療観察法】の知られざる実態

川瀬もえ、エロくてキュートで清らかに。

川瀬もえ、エロくてキュートで清らかに。
    • 小悪魔【川瀬もえ】が脱ぐ

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 表紙/華村あすか「イオンで十分なんです」
    • 【桜田茉央】ミスマガ受賞者の箱入り娘
    • 【AV界】期待の新人セクシー下着
    • 【鈴木ふみ奈】タレントと企業のカンケイ
    • 【増田と鷲見】のラブゲーム
    • 【AI】がインターネットを根底から揺さぶる
    • 【五所純子】「ドラッグ・フェミニズム」
    • 【萱野稔人】"殴り合い"はなぜ人間的なのか
    • 機構影響を受けぬ【雪まつり】
    • 【丸屋九兵衛】キアヌ・リーブスを語る
    • 【町山智浩】「リチャード・ジュエル」FBIとマスコミの欺瞞
    • 【薬物事件】をめぐる刑罰と報道の問題点
    • 小原真史の「写真時評」
    • 笹 公人「念力事報」/ゴーンの大脱出
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ博物館」
    • 稲田豊史/「アナと雪の女王」にモヤる理由
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 大手ビールメーカー出身者が【ブルーパブ】を開業
    • 更科修一郎/幽霊、闘争で情念を語る少年マンガ。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』