サイゾーpremium  > 連載  > 丸屋九兵衛の音樂時事備忘「ファンキー・ホモ・サピエンス」  >  「ファンキー・ホモ・サピエンス」【70】/【ゲーム・オブ・スローンズ】とヒップホップ党
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「ファンキー・ホモ・サピエンス」【70】

【ゲーム・オブ・スローンズ】とヒップホップと民主党と

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『For the Throne』

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(販売元:Columbia)
このアルバムはR&B/ヒップホップ偏重でもないが、それでもリード曲は件の「Power Is Power」。SZAのパートは、ジョン・スノウの叔母にして恋人デナーリス・ターガリエンの胸中を代弁。ビヨンセが送り出した姉妹デュオ・クロイ&ハリーも、ASAPロッキー&ジョーイ・バッドアスも、作品世界に没入したリリックで攻める。

 ウィーケンドが歌う。

「俺は氷と雪から生まれた~冬の狼たちと共に~心臓に刺さったナイフも俺を止められない」

 わはははは、これは『ゲーム・オブ・スローンズ』を見ている者にしかわかるまい! そう、ウィーケンドは主人公のひとり、ジョン・スノウの立場で歌い上げているのだ。

 去る5月。ファンタジー・ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』が幕を閉じた。「2010年代を定義したテレビシリーズ」とも評される全8シーズン、計73話。世界のエンターテインメント史上、もっとも広範囲に、もっとも熱烈な人気を博したドラマだと思うが、その証明は難しい。そもそも放送局はHBO、つまり有料視聴なのだから(とはいえ、アメリカのほとんどが有料のケーブルテレビだが)、視聴率は意味がないし。ただ同ドラマは……米欧で「大人の一般教養」と化し、劇中に登場する架空言語で「女王」を意味する「カリーシ(Khaleesi)」という名を娘につける親が(なぜかニューヨークで)続出、カタルーニャ独立をめぐる討論で「我々に必要なのはジョン・スノウのような指導者」と言及され、HBOの親会社タイムワーナー(当時)の株価を上昇させた。これだけで証明になりはしまいか。

 この『ゲーム・オブ・スローンズ』、特筆すべきは音楽との距離の近さ。劇中で使われるのは、オーケストラを動員したスコアだが、出演陣(大半がUK勢)に音楽キャリアも歩
んできた面々がやたら多かった。例えば、去勢済み奴隷兵軍団の指揮官グレイワームを演じるロンドン黒人のジェイコブ・アンダーソンは、ラリー・リッチー名義でオルタナティブR&Bシンガー/ラッパーとしても活躍中だ。他にDJ兼業アクターもチラホラ。イドリス・エルバもそうだが、UKではそういう二足のわらじが定番なのか? UKだけあってリリー・アレンの弟(=サム・スミスの従弟)も出演、彼を拷問する男はウェールズのシンガーだし、やたらと人を火あぶりにしたがる女性はオランダのジャズ・シンガーだ。

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