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連載
「ファンキー・ホモ・サピエンス」【71】

【Lil Nas X】カントリーロードを歩む若者。その栄光と挫折、突然の告白!

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『7』

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Lil Nas X(販売元:Columbia Records)

カミングアウト曲「C7osure」を含む初の公式EP。例の大ヒット「Old Town Road」はビリー・レイ入りとオリジナルの2バージョン入りだ。この曲、「カントリーか?」と議論されているが、そもそもカントリーではなく「ウェスタン」では? 他曲もロック調が目立ち、普通のヒップホップ曲は2曲のみ。突き抜けとるなあ。

 知ってた人もいるだろうし、気にしない人もいるだろうし、今後は俺と関わりたくないと思う人もいるだろうけど、6月が終わる前に「C7osure」を注意深く聴いてほしい。

 ――というリル・ナズ・Xのツイートには、虹の絵文字がついていた。そして6月はプライド・マンス(LGBTQプライド月間)。つまり、そういうことなのだ。

 99年4月生まれの満20歳、リル・ナズ・X。当初、私はもちろん気に食わなかった。まず、名前がいかん。決してニューヨーク原理主義者ではない私にとっても、ナズといえばナズしかいない。ニューオーリンズ・ペリカンズのロンゾ・ボールがロサンゼルス・レイカーズ時代に「いまどき誰もあんなもの聴かない」と言っていたとしても、ナズはナズなのである。リル・ナズ・Xの本名はモンテロ・ラマー・ヒルだから、どこを探しても「ナズ」の要素はない! それなのに、「リル」と「X」で飾ってナズにあやかろうとは、サニー・ボーイ・ウィリアムソン2世のようではないか。

 しかもこの芸名は、彼がインターネットでブレイクしようと四苦八苦している16歳の頃(早いな)、ニッキー・ミナージュのファンアカウント「ナズ・マラージュ」を運営中に考えついたものらしいし……なんじゃそれは!

 しかし、大ヒットしたカントリー・トラップ曲「Old Town Road」をめぐるあれこれと、ツイッターでのさりげないカミングアウトを経て、実はいろいろなバリアーと戦ってきた青年だということを知り、支持するに至ったのだ。

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