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NewsPicks後藤直義の「GHOST IN THE CHINA」【6】

日本のスーパーマーケットがアリババに制圧される日

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――あまりにも速すぎるデジタルテクノロジーの進化に、社会や法律、倫理が追いつかない現代。世界最大の人口14億人を抱える中国では、国家と個人のデータが結びつき、歴史に類を見ないデジタルトランスフォーメーションが進行している。果たしてそこは、ハイテクの楽園か、それともディストピアなのか――。

盒馬鮮生

中国のアリババグループが展開する、新しい高級スーパーマーケット事業。アリババの保有する膨大な消費者データを使って、儲かりそうな店舗立地を決定。半径3キロ県内にいる約10万人の住民の「買い物」を、オンラインとオフラインの双方から、根こそぎ囲い込むためのモデルを構築する。現在、中国では上海、北京、深センなどで約100店舗近く運営しているとされる。

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『事例でわかる 新・小売革命 中国発ニューリテールとは?』(CCCメディアハウス)

「あの西友のスーパーマーケットを、アリババが買収して、中国流に改造してくれたら本当にいいですよね。そしたら買い物がめちゃくちゃ便利になりますから」

 2018年、東京都内に100店舗近い食品スーパーを展開する「西友」(米ウォルマート傘下)が、経営がうまくいかず、売却されるという報道があって大騒ぎになった。もし成立すれば、価格にして3000~6000億円という大型案件だ。

 誰がこのスーパーマーケットチェーンを買収するのか。ドン・キホーテを経営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの大原孝治社長が興味を示したほか、商社や投資ファンドなどの名前に混じって、中国のアリババグループが買うのではという観測報道も飛び出した。すぐに親会社であるウォルマートの幹部が全否定して、この話はなかったかのように鳴りを潜めている。しかし水面下では、現在も売却シナリオがくすぶり続けているという見方も多い。

 これだけだったら、たくさんある企業売却の観測ニュースのひとつにすぎない。しかし今中国のアリババが、雨後のタケノコのように北京、上海、深センなどで大量にオープンさせている「未来のスーパー」の実態を知る人は、誰もがこう妄想したはずだ。仮にアリババが「西友」を買収したら、日本人が想定もしていなかったような、まったく新しいスーパーが生まれるのではないか、と。

 そこは高級スーパーと、その場で調理してくれる海の幸などを楽しめるレストランが合体した「アミューズメントスーパー」だ。そして近隣住民はお店でショッピングができるのはもちろんのこと、自宅から専用アプリで注文すると、30分以内にすべての商品を無料でデリバリーしてもらうこともできる。つまりそこは高級食品スーパーの店舗でありながら、レストランであり、かつオンラインショッピングの倉庫であり、物流拠点でもあるのだ。ちなみに筆者の自宅近くにも「西友 三軒茶屋店」がある。そこがもし最先端のテクノロジーによってアリババ風に化けたら、最高に面白いなと思っており、この買収騒動のなりゆきを今でもじっと見守っている。そしてことあるごとに、中国のことを知っている人たちと、冒頭のような雑談を冗談半分で交わしているのだ。

 では一体、アリババは中国でどんなスーパーを量産しているか、さらに詳細を紹介しよう。

高級スーパーは、「倉庫」でもある

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