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町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第116回

『ザ・ハンドメイズ・テイル』――“侍女の物語”が描く女性虐待は創作か、現実か?

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『ザ・ハンドメイズ・テイル』

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時は近未来、ギリアデ共和国で女性は国家の所有物となり、参政権、教育など、あらゆる権利を奪われた。彼女らには役職が与えられ、主人公ジェーンは高級官僚の“侍女”に。だがそれは子孫を残す、性奴隷だった……。出演:エリザベス・モス、ジョセフ・ファインズほか。Huluにて配信中(日本配信未定)。


「私たちは眠っていたのだ。連邦議会が襲われて大統領が殺された時も。彼らはそれはテロだと説明し、一時的に憲法を停止したが、私たちは目覚めなかった。すぐには何も変わらなかったから。でも、お湯の温度は少しずつ上がっていった。気づかないうちに私たちは茹で上げられていた」

『ザ・ハンドメイズ・テイル』のヒロイン、ジューン(エリザベス・モス)は深く後悔する。アメリカはキリスト教原理主義者たちに乗っ取られ、「ギリアデ共和国」になってしまった。

『ザ・ハンドメイズ・テイル』はカナダの作家マーガレット・アトウッドが1985年に発表した小説『侍女の物語』のドラマ化。徹底した男尊女卑のディストピアを描いている。

 ジューンはボストンの企業に勤めるOL。妻子あるアフリカ系の男性を愛し、略奪婚したアグレッシブな女性。彼との間に可愛い娘も生まれて幸福の絶頂にあったが、ギリアデ革命ですべてを奪われる。

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