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ライター・高橋ダイスケの青春のプロレス読闘記【12】

「歌舞伎を見に行くってプロレスに行くことだよね?」

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――本で蘇る、僕たちの青春だったあのプロレスラー・格闘家回顧録。

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『東洋の神秘ザ・グレード・カブキ自伝』(ザ・グレート・カブキ/辰巳出版)

『東洋の神秘 ザ・グレード・カブキ自伝』(辰巳出版)を読んで非常に困惑している。僕がプロレスの聖典としている『プロレス スーパースター列伝』(小学館)で描かれている内容と、本人が語るこれまでの軌跡に食い違いがあるのだ。『列伝』ではアントニオ猪木の解説で「現在のプロレス界でカラテを体得しているのはタイガーマスク、カブキ、わたしの3人だけだから!」と語っているが、カブキは中学卒業と同時に入門し、それまでは柔道一本。入門後も空手修行の記述は見当たらない。

 さらに『列伝』では、原作者の梶原一騎の文責で、日本プロレスの社長だった芳の里をボロクソにけなし、日本プロレス崩壊の元凶としていたが、当のカブキは芳の里をオヤジと呼んで慕い、擁護する立場をとっている。それに、以前もここで触れたが、『列伝』のカブキ編のハイライトともいえる、香港のカンフーの達人、ウォン・チュン・キムとの修業や、暗黒街・九龍での九死に一生を得た死闘が本書では一切されていない。

 とはいうものの、本書の面白さは保証できる。調子に乗っていたサンダー杉山らへの制裁や、ジャイアント馬場の「ギャラ100円上げてやる」を筆頭にしたケチエピソード、天龍源一郎らとの男気の溢れるやり取りなど、力道山の死の直後にプロレス界に入り、日米でトップを取ったカブキならではの視点で語られるプロレス史は、すばらしくエキサイティングだ。

 隈取メイクと毒霧で、僕が子どもの頃にはすでにスーパースターだったカブキ。当時は「歌舞伎を見に行く」と聞くと、伝統芸能ではなくプロレスを見に行くと思っていたほど、彼の影響力は強かった。毒霧の吹き方も練習して、今でも上手く吹くことができる。それにもコツがあってその解説もしたいが、字数がないのでまたいつか。

高橋ダイスケ(たかはし・だいすけ)
格闘技経験なしの30歳代フリー編集者・ライター。小誌ほか、グルメ雑誌、ディズニー雑誌など見境のないジャンルで、器用貧乏ぶりを発揮中。憧れの技はラ・マヒストラル。野球と落語も大好物。

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