――見られ・選ばれ・生きてゆく?"イケメン"から見える現代社会
新世代のイケメンは相変わらず続々と芸能界に現れ続けている。
ちょうどこの連載が始まって、1年を迎えた。インタビューを受けてくれる方を探すのには大変苦労したが、最終的には2人のイケメンの方に登場いただくことができた。
1人目は俳優活動を26歳で引退し、早稲田大学、東京大学大学院に進学した北村匡平さん(2014年5~7月号)、2人目は『爆竜戦隊アバレンジャー』などに出演し、32歳になった今でも映像作品、舞台などで活躍を続ける富田翔さんだった(15年1~3月号)。
2人の生き方は、まるで正反対だ。俳優という職業をまっとうする中で「頑張り方がわからない」と感じ、頑張った結果が見える受験、そしてアカデミズムの世界を選んだ北村さん。そして、「今はネットがある。俳優も何かを発信できる時代になった」と自ら企画ユニット「撃弾ハンサム」を結成した富田さん。対照的ではあるが、それぞれが、自分を生かせる道を見つけ出している、と知れたことで、この連載をやった意義があると思えた。
このページでの連載はこれが最後だが、次回からは、毎号インタビューを中心に、イケメンと呼ばれながら、芸能界で生きる男性の生き方を追っていく新連載をスタートすることになった。
このコラムを始めたときに掲げたテーマ――「男女のジェンダー差はなくなってきた」と言いながらも、いまだ残っている「男らしさ」や「男として期待されるふるまい」とどう折り合いをつけ、また価値観を更新しながら生きているのか――を、イケメンの方々から引き続き聞いていけたらと思っている。芸能界というのは特殊な世界と思われがちだが、その分、世間の視線をダイレクトに受け止める職業でもある。そんな世界に生きる人の声を通して、これからの男性の生き方を考えてみたい。
西森路代(にしもり・みちよ)
1972年、愛媛県生まれ。フリーライター。アジア系エンタメや女性と消費に関するテーマなどを執筆。著書に『Kポップがアジアを制覇する』(原書房)、『女子会2.0』(共著/NHK出版)など。