――見られ・選ばれ・生きてゆく?"イケメン"から見える現代社会
2014年も舞台に映画に出演を重ねた。
前号に続き、俳優・富田翔さんのインタビュー。人生に二度の転機があったという富田さん。二度目は26歳、事務所を辞めるとき。では、22歳のときの一度目の転機とは?
―― 一度目の転機というのは、何があったんですか?
富田 ヒーローものの仕事が終わって別の作品に出るって時に、病気で1カ月入院して降板したんです。入院中にいろんなことを考えて、それまでは人づきあいもあんまりだったけど、そんなこと言ってられないな、世界を広げないとって思いましたね。その気持ちが強くて焦って歯車が噛み合わない感じもあったりしたけど、純粋に外の世界に出て力をつけたいと思って事務所を出るという選択にもつながりました。
――実際の外の世界はどうでしたか?
富田 すごく守られてたんだなと思いました。1年間はお芝居にもほとんど出られなかったけど、そこから連れ出してくれたのは同業の友達でしたね。舞台を観に来るように誘ってくれたり、友人の舞台に出演させてもらったり。
――事務所に所属していない間、役者を続けるかどうかで揺れたことはなかったですか?
富田 30歳になる前くらいって、みんな揺れる時期だと思うんですよね。世間体が気になる時期ですし、結婚して辞めていく人がいたり、芸能以外のいろんな人とも知り合うので、好奇心も出てきちゃう。僕も実はその頃に揺れたこともあったんですけど、応援してくれる人がいるし、お芝居の楽しさもわかってきたので、そういう考えはなくなりました。(続く)
富田翔(とみた・しょう)
1982年、東京都生まれ。02年『ごくせん』でデビューし、03年『爆竜戦隊アバレンジャー』に出演。近年は映画・舞台を中心に活躍中。書道家の家に生まれ、書道デザイナーとしても活動。出演舞台『私のホストちゃん』大阪公演が12月26~27日上演。
西森路代(にしもり・みちよ)
1972年、愛媛県生まれ。フリーライター。アジア系エンタメや女性と消費に関するテーマなどを執筆。著書に『Kポップがアジアを制覇する』(原書房)、『女子会2.0』(共著/NHK出版)など。