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第1特集
青木理と川端幹人が最新「メディアタブー」を語る

ジャニーズタブー崩壊! あらためて浮き彫りになる大手メディアの打算と堕落

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――「メディアタブー」の代表格「ジャニーズタブー」が崩壊した。だが、言わずもがなテレビや新聞といったマスコミの前には、あまたの“NG”が横たわる。いまもなお、どんなタブーが存在し、何がそれらを生み出しているのか。『サンモニ』でおなじみのジャーナリスト・青木理と、伝説のタブーなき雑誌「噂の眞相」元副編集長の川端幹人が、忖度がはびこり、思考停止に陥ったメディアの体たらくに喝!

外圧とスポンサーがジャニーズ崩壊の端緒

川端 正直言うと、僕はジャニーズタブーがこんなに一気に崩れるとは予想していなかったんですよ。「噂の眞相」でジャニー喜多川の性加害はもちろんいろんなスキャンダルを追及したけど【※1】、一方で、その強固さを痛感してきたから。

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青木 たしかにジャニーズのメディア支配は凄まじかった。僕はテレビ朝日の『モーニングショー』に10年間出演したけど、実はコメントを事前に止められたことが一度だけあって。それもジャニーズ絡みでした。

川端 青木さんへの唯一の直接圧力が、安倍政権批判とかじゃなくて、ジャニーズ?

青木 そう。SMAPの独立解散問題のとき、直前の打ち合わせでプロデューサーが「どうコメントしますか」と聞くから、僕にしてみればごく穏当なことをコメントしたいと説明したら、「上と相談します」と言って戻ってきたプロデューサーが「コメントは一切なしでお願いします」と。実際、コメントを振られないまま、無難な感じでまとめて終わった。

川端 まあ、テレ朝は特にジャニーズとの癒着度が高かったからね。ただ、他のメディアも似たり寄ったり、週刊誌さえ「週刊文春」以外は、ジャニーズの決定的なスキャンダルには触らなかった。

青木 そういえば、「週刊新潮」も、ジャニーズには弱腰だった。

川端 出版社の場合は、ジャニーズ・アイドルのカレンダーの出版権を分配されてたからね【※2】。さすがに来年度はなくなったけど。でも、そんなジャニーズタブーがこの数カ月で崩壊してしまった。なぜだと考えてます?

青木 性加害に対する問題意識が高まった背景はあるけれど、基本的には外圧ですよね。BBCの報道があって、やらざるを得なくなっただけの話で。

川端 スポンサーの動きも大きかった。カウアン・オカモト氏が外国特派員協会で会見を開いた前後から、かなりの数のCMスポンサーが対応を強く求めていたらしい。それで、ジャニーズ側もスポンサーに説明文書を配布し、藤島ジュリー景子社長が謝罪動画を出さざるを得なくなって、テレビ局もおずおずと報道し始めたという構図。

青木 いずれにしても、メディアが自発的にタブーに斬り込んだわけじゃない。実際、ジュリー氏の謝罪動画以前に、ジャニー氏の性加害を報じたテレビはTBSとNHKだけ。どこも、いまになって「性加害は許せない」と言ってるけど、そういうポーズを取ってるだけとなじられても仕方ない。

川端 この間、各局が放送していた検証番組を観ても、それがよくわかった。特にひどかったのがフジテレビとテレ朝。フジの検証番組は『SMAP×SMAP』の公開謝罪やジャニーズへの出向問題【※3】などをスルー。テレ朝も、『ミュージックステーション』のライバルグループ排除問題や、ジャニーズJr.にレッスン場を提供していた問題には一切触れず、元忍者の志賀泰伸氏が局内のトイレで被害に遭ったという告発については、当時の関係者が亡くなっているなどとして「事実関係の確認は困難」と検証を放棄した。

青木 テレ朝局内ではレッスン場での性加害目撃談も出回っていたけど、もちろんその検証もなかった。

セクハラ問題 ナベプロはスルー

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長年スルーしてきたジャニーズ問題を取り上げたNHKも、タブーに切り込んだように見えたが……。(写真=Photo AC)

青木 ただ、各局のジャニーズ検証番組がダメだったのは、報道局の姿勢に焦点が当てられたせいもある。それでは「性加害に対する意識が低かった」とか「芸能ネタだと考えた」という総括で終わってしまう。でも、テレビ局の責任って、そんなレベルの話じゃない。癒着の本山は、編成・制作なんだから。

川端 編成・制作は独立したタレントやライバルを干してきた共犯。性加害だって絶対に知っていたし、協力していた可能性もある。

青木 各局の幹部、J担(ジャニーズ担当)の中には、接待漬けになっていた連中だっているはず。

川端 でも、テレビ局に、そんな検証ができるわけがない。根本的な体質は変わっていなくて、いまも他の大手事務所とは癒着・忖度が健在でしょ。

青木 大手事務所から独立したタレントを干すといった悪習もね。あと、芸能界の性加害は他にもあるはずなのに、まったく触れない。「性加害への意識が低かった」と言うなら、ジャニーズ以外の事務所についても斬り込むべきでしょう。

川端 実際、2020年には、ナベプロ(ワタナベエンターテインメント)の常務がジャニー氏と同じく所属タレントに対してセクハラをしていたことを「文春オンライン」に報じられて、解任されている。これなんて、今回、改めて検証してもいい問題なのに、完全スルー。業界大手のナベプロに対する忖度としか思えない。

青木 バーニングプロダクションもいまだにタブーでしょ。

川端 影響力が落ちたという人もいますが、そんなことはない。テレビやCMのキャスティングにはいまも絶大な力を持っているし、テレビやスポーツ紙は言いなり。ただ、他の大手芸能事務所も近年はマスコミ対策に力を入れていて、どんどんタブー化してきた。ナベプロに、ホリプロ、吉本興業、研音、アミューズ、トップコート、ケイダッシュ、田辺エージェンシー、あと、業界団体である音事協(日本音楽事業者協会)会長が社長を務めるジャパン・ミュージックエンターテインメント、このへんには、テレビは逆らえない。

青木 大手は、ほぼ全部じゃない(笑)。最近、あるメディアの元J担に話を聞いたら、「ジャニーズはまだマシ」と言ってた。「きちんと握ってれば、それほど無茶は言わないし、反社との関係も薄い。もっと無茶なことを言ってくる事務所はある」って。だったらそれも報じろよ、と思うんだけど(笑)。

川端 いずれにしても、ワイドショーは大手事務所所属のタレントにスキャンダルがあっても、絶対取り上げない。

青木 まあ、ワイドショーなんて、吉本芸人を筆頭に、大手事務所のタレントがコメンテーターを務めているから。

川端 MCもですよ。『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)の宮根誠司と『モーニングショー』(テレ朝系)の羽鳥慎一はバーニング系のテイクオフ、『ひるおび』(TBS系)の恵俊彰はナベプロ、『ゴゴスマ』(同)の石井亮次と『めざまし8』(フジ系)の谷原章介はジャパン・ミュージック。これじゃ、忖度が断ち切れるわけがない。

青木 でも、テレビに限らず、芸能ジャーナリズム全般の劣化も大きい。古くはナベプロ帝国に牙を剥いた竹中労がいたし、梨元勝だって途中からジャニーズ批判をしていた【※4】。いまはそんな矜持すらなくてチェック機能を完全に失っている。芸能レポーターなんて便宜供与漬けにされて、梨元の言葉を借りれば「芸能サポーター」(笑)。だから会見での井ノ原快彦のあんな発言に拍手してしまうわけで。

川端 たしかに、この期に及んでも“ジャニーズのポチ”体質が抜けない連中がいるね。出版社で一番癒着度が高い小学館の「女性セブン」はいまもジュリー氏のご機嫌をうかがう記事を出しているし【※5】。

青木 それとスポーツ紙。僕はTBSの『サンデーモーニング』に出てるけど、政権批判を口にすると、スポーツ紙系のニュースサイトがコタツ記事で一斉にそれを報じるんです。ネトウヨの炎上でPVを稼ごうとして。なのに『サンモニ』でジャニーズ問題についてコメントしたら、見事なくらいコタツ記事が1行も出なかった(笑)。

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