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第1特集
霊感商法は日本でしかやってない!?

「サタンの国」から搾取した種銭 旧統一教会・世界各地での展開

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――連日、メディアをにぎわす旧統一教会だが、日本国外での評判というのはあまり聞いたことがない。ましてや、誕生の国・韓国では霊感商法も行われていないという。かつては日本同様、世界各国の政治の中枢にまで食い込んだ、同教団の現状は一体どうなっているのだろうか?

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(絵/管弘志)

「怪しい宗教=壺を買わされる」というステレオタイプの“元ネタ”である旧統一教会は、80~90年代にかけて、「霊感商法」や「合同結婚式」などで、たびたびマスコミをにぎわせてきた。

元首相の殺害という歴史的事件がきっかけとはいえ、今になって旧統一教会と自民党の関係などが大騒ぎされていることに対し、長年にわたって旧統一教会を追ってきた識者はどう思っているのか? 北海道大学の櫻井義秀教授との共著『統一教会:日本宣教の戦略と韓日祝福』(北海道大学出版会、2010年)がある、大阪公立大学都市文化研究センター研究員の中西尋子氏は、次のように語る。

「1992年に行われた合同結婚式に、歌手の桜田淳子や新体操のスター選手だった山﨑浩子といった著名人が参加したことで大騒ぎになりましたが、その後も合同結婚式は行われ、霊感商法との関わりや宗教であることを隠した勧誘など統一教会の問題は一部では指摘され続けていました。マスコミがそれを取り上げないから一般の人は知る由もありません。今回、事件をきっかけに再び統一教会に注目が集まり、経緯は肯定できないものの、旧統一教会の活動実態がやっと広く世間の知るところになりました」

また、今回の事件は「政治」絡みのため、よりいっそう報道に力が入れられているという。80年代の「霊感商法」問題の頃から旧統一教会を追っている、前参院議員でジャーナリストの有田芳生氏は、こう解説する。

「95年のオウム真理教の地下鉄サリン事件以降、メディアは旧統一教会関連の報道に価値観を見いださず、企画を出してもまったく通りませんでした。そんな状況が約30年間続いていたのです。そもそも、80~90年代にかけて、『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)や『週刊文春』(文藝春秋)で私たちが霊感商法に関するキャンペーンを張ったときも、一般誌やテレビはまったく取り上げませんでしたね。今回、一連の事件がメディアで報道されたことは、旧統一教会68年の歴史で初めてだと思います。かつては、合同結婚式に関する報道がメインでしたが、それも『芸能ネタ』の一環として扱われていましたからね。それが、今は政治に焦点が移っているため、大きく報じられていますが、それでも『信教の自由』を言い訳にしてか、『旧統一教会の実態』に関する報道は少ない気がします」

ところで、旧統一教会は世界194カ国(公称)で活動を行っているが、日本のような霊感商法の被害などは聞こえてこない。それどころか、発祥国である韓国では、宗教団体という認識すらそれほどないという。

「韓国における旧統一教会は、誰もが知るような存在ですが、宗教団体を含め、そのほかいろいろなことをやっている事業体とみなされています。宗教も数ある事業のひとつ、といった具合です。正統派のクリスチャンは旧統一教会のことを似而非宗教(偽宗教)だと異端視して嫌っていますが、一般の人は、数ある新宗教のひとつというくらいの認識でそこまで嫌っていないように思います。そうでなければ、結婚相手になかなか恵まれない人が『統一教会で結婚しようか』と考えたりはしないです。韓国では、旧統一教会が結婚勧誘をしていることが周知の事実なので、そこも日本とは認識がだいぶ違います。私の姉が交換留学で韓国に行った際、下宿先のおばさんに独身だと言ったら『じゃあ、統一教会で相手を探したら?』と、冗談とも本気とも受け取れない感じで言われたそうですし……」(前出・中西氏)

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(絵/管弘志)

確かに、日本ではいくら結婚相手に困っているからといって、結婚相談所感覚で旧統一教会に頼ろうとする人は、かなり稀な存在だろう。日本でのシノギは霊感商法や信者からの献金、合同結婚式への日本人信者の参加費だろうが、それでは韓国における旧統一教会のシノギは、同団体系の企業が製造し、かつて日本でも販売されていた炭酸飲料のメッコール以外には何があるのだろうか?

「まず、統一教会と関連があると指摘される霊感商法で用いられる壺などの物品は、もともと韓国で作られているものです。高麗人参関連の商品もそうです。ほかには、龍平のスキーリゾートを所有していたり、ソウルのJWマリオットホテルや、セントラルシティといった大型ショッピングセンターも聞くところによれば同団体の系列らしいです。また、2012年に開催された麗水国際博覧会(麗水万博)の場所も、旧統一教会による土地開発といわれています。さらに『世界日報』という保守系の新聞社も経営しており、バレエ団(ユニバーサルバレエ団)や少女歌劇団(リトルエンジェルス芸術団)、大学(鮮文大学)などもあります。しかし、これら芸術、教育関連事業からの収益は大した額でなく、旧統一教会の活動に回すほどのものではないでしょう」(同)

龍平リゾートは韓国初のスキーリゾートとして75年に開業し、一世を風靡したドラマ『冬のソナタ』のロケ地として使用されたり、18年には平昌冬季五輪の競技会場にもなっている。

特異なのは麗水万博である。開催地の麗水市は約30万人の人口のうち、3分の1がキリスト教徒といわれる。そのため、文鮮明は同市を“聖地”と位置付け、布教活動に熱心だったという。

全国霊感商法対策弁護士連絡会による「旧統一教会に関する問題を協議する日韓教会フォーラムの報告書」によれば、文鮮明は05年に「麗水市をグループのメッカとして育成する」と宣言していたといい、その言葉通り1兆ウォン(約1000億円)を投じてリゾート開発を行っている。麗水万博が同地を世界レベルの海洋観光リゾート地として発展させることを目的としていたため、教団がおよぼした影響は少なくないといえるだろう。

また、麗水市は日本の佐賀県唐津市と姉妹都市関係にあり、文鮮明は両市をつなぐ「日韓海底トンネル」の開発にも力を入れていたことで知られている。

このような活動から、旧統一教会は韓国国内で新宗教とは認知されていても、日本のように危険視されているわけではないのだという。それでは、なぜ日本はここまでカモにされているのだろうか?

「韓国では日本のような高額献金であったり、学校も仕事もなげうって『献身(すべてを捨てて入信し、教団専従になること)』させ、マイクロ隊(訪問販売部隊)の活動をやらされることもありません。韓国に住む元信者の日本人女性に話を聞いたところ、日本にいた頃は『親を捨ててでも信仰を貫け』と教えられてきたのに、韓国ではまったく違って、教団は信者に『“親を捨てろ”なんて、とても言えない』と話していました。旧統一教会に言わせれば、韓国は教祖の国、韓国人は“選民”であり、日本はそれを侵略した国であるため、贖罪のために日本は韓国に人的、金銭的貢献をすべきという考えです。仮に韓国で日本のような激しい活動を展開していたら、誰も信者にならないでしょう」(同)

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