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更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【74】

幽霊、文系クズのカルト学校逃走記。

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――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった? 生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉

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サブカルへ逃走したのに、そこでもカルトの宿痾を発見してしまう文系クズの偉大な先達。因業な悲喜劇は何度でも繰り返される。

東大前刺傷事件の犯人が名古屋の中高一貫男子校の高校2年生と聞いて、個人的には納得してしまった。編集者だった頃、ロリコン系の作家は何故か名古屋の大学出身者が多かったのだが、トヨタを頂点とする大企業封建社会・名古屋の優等生はトヨタか医者のような職業に就くかの二択しかなく、それ以外は婚活パーティで見向きもされないらしい。この事件もその恐怖を骨の髄まで内面化した男子校エリートの凶行だったのかもしれない。

かくいう筆者は共学なので、男子校特有のホモソーシャルなドグマは免れたが、新宗教系の幹部候補生学校をドロップアウトしたろくでなしだ。家の事情で中学時代を海外で暮らした筆者は「まんがの森もない国にこれ以上いられるか!」と啖呵を切ったのだが、毒親はカルト宗教を真面目に信仰する気がない筆者を信仰の道へ導く好機と思ったのか、日本での併願を許さず、「不合格なら帰国せずインターナショナルスクールだ」と宣告された。それでも口車で騙して併願し、本命は白紙提出したのだが、何故か合格してしまう。入学式前日、広報紙のプロパガンダ記事に駆り出され、学校側が帰国子女枠を喧伝するための八百長合格と判明。「勝手に書けばいいだろこの糞ブン屋」とキレた。初手からそんな調子なので、真面目に通う気もなかったが、寮生なので総括リンチの餌食になった。代わる代わるの説教と暴力で一睡もさせない折伏の手口は教団の十八番で、そりゃ六全協で暴力革命を捨てた共産党にも勝つよな。もっとも、寮で同室のK先輩は生徒会長で監視役だったが、卒業後、風俗へ行ったら嬢がK先輩の彼女だったことがある。同室の上に穴兄弟とは笑っていいのやら抜いていいのやら。そして、K先輩のような隠れワルは魑魅魍魎が跋扈する教団でしっかり生き残るが、クソ真面目に筆者を説教していたT先輩は東大受験に失敗後、女と失踪し、現在も消息不明だ。

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