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第1特集
不祥事が続く「日大」研究【1】

田中元理事長以外も悪人! 日本大学「不祥事連発」の歴史

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(絵/藤本康生)

――「悪質タックル問題」から3年……。ついに、諸悪の根源ともいえる田中英壽・元理事長が脱税で逮捕された。とはいえ、日大全体の歴史でいうと、こうした経営陣をめぐるお家騒動は、昭和、平成、令和と、いつの時代も生じていた。なぜ、日大は不祥事を起こしがちなのか?

学生数、組織としての規模、どれをとっても日本最大のマンモス校である日本大学(以下、日大)。しかし、巨大なマンモスは長年にわたる腐敗が進み、今やその巨体を支えられずに、崩れ落ちる可能性が現実味を帯びている。

2021年秋、日本大学医学部附属板橋病院の建て替え工事をめぐる背任事件が発覚し、日本大学事業部の井ノ口忠男理事と、コンサルティングを請け負っていた医療法人「錦秀会グループ」の籔本雅巳理事長の2人が逮捕された。さらに、捜査の過程で“日大のドン”こと田中英壽理事長の所得隠し及び脱税も発覚し、所得税法違反で東京地検特捜部に逮捕されるという事態に発展した。

「不沈艦のごとく言われていた田中氏もとうとう捕まったか……と、感慨深いものがありました」

そう語るのは、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏。

「田中氏が理事長に就任してから、日大では『日大フェニックス反則タックル問題』を含めて大きいスキャンダルが3回は起こっています。しかし、結果的にはそのいずれもダンマリ作戦で逃げ切ることに成功していました。そのため、今回の背任事件についても逃げ切る公算が大きかったのですが、まさか容疑を脱税に切り替えて逮捕されるというのは、私も想定していませんでしたし、田中氏本人もおそらくは想定されていなかったのではないかと思います。家宅捜索というものは、言うなれば生活権を侵害するわけですから、2度、3度も入るというのは本来であれば裁判所も突っぱねるような話。それを許可しているということは、よほど容疑が濃厚であるとみられたからこそですね」

その一方で、元「日経ビジネス」副編集長で経済ジャーナリストの磯山友幸氏は、今回の一連の騒動は田中氏の「逃げ切り」と見る。

「この背任事件は本来、田中氏が中心にいたはずなのに、実際に背任容疑で逮捕された大学関係者は井ノ口氏だけ。報道ベースの話ですが、田中氏は捜査の手が伸びてきた際に『俺が逮捕されるようなことがあれば、今まで政治家に渡した裏金のことも全部ぶちまけてやる』などと息巻いていたそうです。それで検察に圧力が加わったとまでは言えませんが、田中氏を立件することに非協力的な部分はあったかもしれませんね」

本業であるはずの教育からかけ離れた、カネ絡みの汚職。田中氏の独裁的な体質は、今回の事件からさかのぼること3年前に起こったアメフト騒動でもクローズアップされており、それ以前から暴力団との密接交際が報じられるなど黒い噂は絶えなかった。なぜ、今回の事件に至るまでその体制が揺らぐことはなかったのか?

一方で、日大の歴史をひもとくと、田中氏に限らず、経営の不透明さや権力闘争は〝お家芸〟と言えるほどに頻発している。1960年代末期に勃発し、全国の大学紛争に影響を与えたといわれる日大紛争も、裏口入学と20億円の使途不明金絡みの問題が発端であった。本稿では、そうした過去の報道や識者へのインタビューを参考に、日大の内部事情を探りつつ今後の展望について考察していく。

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