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第1特集
ヒップホップ文化を活字と写真で学ぶ本【1】

「ダサい」なんて言わせないヒップホップを学ぶ珠玉の書物

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――密フェスの影響で大衆から「だからヒップホップは……」と非難され、プレイヤーの間では「あいつはヒップホップじゃない」と激しい論争が飛び交う国内ヒップホップ業界。であれば、何をもってしてヒップホップなのか──? そんな問いの解答を導き出すべく、「歴史と文化」に重きを置き、近年に出版されたチェックすべき書籍を一気に紹介。

『高校生ラップ選手権』(BSスカパー!)や『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)によって火がついたMCバトルブームが一段落し、今や若者層に限らず、幅広い層にまで定着したように見えていた日本のヒップホップカルチャー。しかし、去る8月下旬に愛知県で開催された『NAMIMONOGATARI2021』の密フェス騒動から発したヒップホップ・アーティストやシーン全体へのバッシングに目を向けると、その認識が誤りであったことに気づかされ、結局のところ日本では、「ヒップホップ」という言葉が広く認識されただけで、カルチャーとしてはまったく理解されていない事実を突きつけられた。

「じゃあ、ヒップホップって、いったい何?」という質問に対して簡単に答えを出すのは難しいが、「なんでもアリ」に見えて、実はルールや基準が存在し、その基準は時代によって変化しながら、それでいて芯となる部分は決して揺らぐことはない。その答えを求めている人がいるのであれば、今回紹介するヒップホップ関連の書籍を手に取ることで、ひとつの回答にたどり着くかもしれない。「ヒップホップは勉強するものじゃない!」と反論する人もいるかもしれないが(その意見もごもっとも)、偉大なラッパー、KRS・ワンが唱えた“エデュテインメント”(エデュケーション+エンターテインメント)の言葉の通り、ぜひ楽しみながらヒップホップを学んでいただきたい。

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[COMIC]
【1】『少年イン・ザ・フッド』SITE(Ghetto Hollywood)(扶桑社/20年)
ヒップホップカルチャーど真ん中をひた走るマンガ。現代的な描写でありながら、90年代のストリートカルチャーを巧みにサンプリングする物語の内容は、作者であるGhetto Hollywoodがストリートで味わってきたことの回顧録でもある。現在、単行本は3巻まで発売中。

まずカルチャー全般を知るための入門書として紹介するのが、週刊誌「SPA!」(扶桑社)にて連載中のマンガ『少年イン・ザ・フッド』【1】だ。さまざまなヒップホップアーティストのMVを制作する映像クリエイターとしても知られるGhetto Hollywood(SITE)が手がける同作は、とある団地を舞台に令和と90年代を行き来しながら日本のヒップホップ/ストリートカルチャーをあらゆる角度から描く。ラップはもちろん、DJやドラッグ、グラフィティカルチャーについても丹念に描かれており、単行本に掲載されている関連コラムや対談記事も素晴らしい。トリビア的な小ネタも満載で、第一級のエデュテイメント作品としてすべての方に勧めたい。

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