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『西国分寺哀の「大丈夫?マイ・フレンド」』【50】

求められるのは気遣いのできる国民性?――『奈々子』が一番大事

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『藤崎奈々子』

求められるのは気遣いのできる国民性?――『奈々子』が一番大事の画像1

タレント・藤崎奈々子が『今夜くらべてみました』の生放送で結婚を発表。その日はフィギュアスケート選手アリーナ・ザギトワがゲストだったものの、結婚発表に重きを置いた演出に批判が続出。藤崎とザギトワ、「どっちが人気者かくらべてみました」ということだったのだろうか。

 7月24日放送の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)で、結婚を発表した藤崎奈々子。ところが、その演出方法について批判が殺到している。この日は“緊急生放送”と銘打ち、「千葉に住む有名人が結婚発表」などと煽り、番組後半まで引っ張った挙げ句、出てきたのが藤崎奈々子ということで肩透かしをくらった人が多かったのだろう。若い人にいたっては「藤崎奈々子って誰?」という声もあり、しかも、ロシアのフィギュアスケート選手アリーナ・ザギトワがゲスト出演しているにもかかわらず、ゲストそっちのけで結婚発表に時間を割いた構成に不満の声が上がった。

 だが、ちょっと待ってほしい。スポーツに一切興味のない私から言わせてもらえば、むしろ「ザギトワって誰?」という話であって、そんな天然記念物の鳥類みたいな名前の人は知らないのである。だったら若かりし頃に好きだった藤崎奈々子のほうに興味がある。確かに既に“過去の人”感はあって「あまり見ない」という点では、彼女のほうが天然記念物っぽくはある。

それに、私ですら彼女が今何でメシを食っているのかはわからない。ただ「老後に2000万円ないと生きていけない」などと言われ戦々恐々としている日本で、なんだかわからないけど食えているというのは、実に頼もしいではないか。

 今回の結婚発表を「生放送でやる必要ある?」という声もあったが、必要あったのだ。少なくとも番組制作側には。今現場で決定権を持っているのは、私と同じ40代世代だろう。だとすれば思い入れのある人が関わっていてもおかしくない。多分だが制作側としては「歴史ある劇場が閉館する」とか、「地元のスポーツチームがなくなる」とか、「長寿番組が終了する」みたいな、今まで離れていたくせになくなるとわかると急に「辞めないで」と寂しさを口にするような、元ファンの心をくすぐろうとしたのではないだろうか。事実、私もノスタルジックになったクチだ。

 ただ誤算は、思いのほかそのパイが少なかったということだろう。先の参院選で満を持して立憲民主党から比例で出馬したものの、落選した元モー娘。市井紗耶香みたいな感じで。意外とついてくるファン少なかったのねーみたいな。それが、今回のような状況を招いたのである。

 まあ、ザギトワにしてみれば、呼ばれたのに大した出番もなく、そのうえ誰か知らん奴の結婚報告を聞かされたのでは、たまったものではないだろう。ただ私の勝手なイメージだが、デキたアスリートなんてのは、こんな状況でも「今日は素晴らしいタイミングに居合わせたことを、とても光栄に思うわ」みたいなことをSNSでつぶやきそうなものだが、何もないところを見るとザギトワもまだまだである。

 もちろん番組の演出に対し「ザギトワに失礼だ」「かわいそう」という声が上がるのはわかる。ただそれは同時に藤崎奈々子に対しても失礼であることに気づいてほしい。それに、今のところ一番の被害者は、むしろ彼女ではないかと思うのだ。

 何より、彼女自身が一番わかっていたはずだ。「生放送で、しかもこんな煽ってやることじゃない」と。これは、TBS『ぴったんこカン・カン』で「今夜、安住紳一郎アナより大切なお知らせがあります」と結婚もしくはフリー転身をにおわせておいて、実のところ「同局の20年五輪放送の総合司会を務めます」という告知レベルの発表をして炎上した件と同じ構図だ。彼女はただ、制作側の熱意と、まだいるかもしれないファンに対して、プロとしてこたえただけだ。

 あと、こういう時に「需要と合ってない」的な発言をする人がいるが、そういう人は己の需要というものにも向き合ってもらいたい。会社の飲み会で特に強い意志があるわけではなく、2次会への流れで「俺、帰るわ」などとクールを装い、同僚や後輩からの“「え~。行きましょうよ~」待ち”をしたことがないだろうか? 言われなければ傷つくし、言われたとしても、言っているほうはそれほどアナタに来てほしいと思っているわけではない。単に気を遣われているだけなのだ。だから、そうやって人からもらった優しさを、今度はアナタが誰かに与えてみるのはどうだろう。我々日本人は、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の「テレフォンショッキング」で、人気のないゲストの時でもタモさんが「そろそろお友達を……」と言った瞬間、「えー!」と残念がる、気遣いのできる国民性なのだ。やってやれないことはない。

 最後に余談だが、藤崎奈々子のウィキペディアを見たところ、7月27日の時点では結婚に関する記述はなく、それどころか、ロンドンブーツ1号2号の田村淳と交際していた記述すらなかった。ファンが認めたくないのか、誰も興味がなかったのか、実際のところはわからない。あと、調べついでにザギトワも検索かけてみたのだが、ザギトワって娘、結構カワイイんだね。

西国分寺哀(にしこくぶんじ・あい)
にわかにザギトワに興味を持ち始めた独身中年男性。藤崎奈々子より一つ年上。今回で連載も50回を迎えたが、だからなんだということはない。

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