サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > 極東【バイオレンス】映画祭

――このところ“家族”や“格差社会”をテーマにした東アジアの作品が立て続けに栄冠を手にし、世界的評価を高めている。だが今回、東アジアの映画を語る上で注目したいテーマはほかにある。“暴力描写”だ。欧米に比べて、その残虐性は段違い。独自の飛躍を遂げているという。

1908_P088-091_P4_320.jpg
ポン・ジュノの名作『殺人の追憶』で、酔っ払った刑事が焼肉店で暴れるシーン。執拗に相手に、体重を乗せた蹴りを食らわせる。実に実践的だ。(写真/『殺人の追憶』より)

 ハリウッド映画は特に厳しいレイティング・システムが敷かれており、暴力描写はそれほど激しくない傾向にある。だからこそ、今注目が集まる東アジアの映画で、実はひときわ目立っているのがバイオレンス映画の残虐性だ。欧米にはないおびただしいほどの血の量、競うようにオリジナリティを増す殺害方法。韓国、日本、香港、中国、東南アジア、それぞれでも特徴は異なるが本稿では「キネマ旬報」などに寄稿し、映画に精通するライターの平田裕介氏に各国の代表作をピックアップしてもらいながら、東アジア最強のバイオレンス映画を独断と偏見で決定したいと思う。もちろん、正直にいえば、国ごとで特徴わけするのはいささか強引で当然、監督ごと、作品ごとそれぞれで違うとも言えるが、実際に集めてみると大まかな傾向が見えてきた。

非日常の中にあるリアル志向――どこまでも残虐な韓国映画

 さて、韓国映画で初めてカンヌを制した『パラサイト』の監督、ポン・ジュノが最初に注目を集めたのもバイオレンス映画だった。2003年、自身2作目で実際の未解決連続殺人事件を扱った『殺人の追憶』は当時、韓国映画史上最多の動員を記録した。刑事が容疑者を次々と拷問していく様はどこまでも生々しく話題となったが、平田氏は韓国の暴力描写の特徴は“リアル志向”にあるという。

「韓国はノアール的な作品でもリアル志向が強いんです。ビンタが多かったり、あとは面倒くさそうにしながらモノでたたいたり、殺す前にため息をついたり。軍人気質もあるからなのか、とにかく粘っこいのも特徴かもしれません」

 そんな中でも特に衝撃を受けた作品が2016年の『アシュラ』【1】だという。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2020年2月号

新しいニッポンのタブー

新しいニッポンのタブー
    • 暴力団だけじゃない【反社】の定義
    • 【山口組分裂】報道の最前線
    • 【嵐】休止後の芸能界にタブーはあるか?
    • 本当の【氷川きよし】論
    • 【社会学者】きーちゃんを苦しめる疑惑フォーマット
    • 【湯山玲子】ミサンドリー時代に合った戦略
    • 【音楽学者】芸能の性別越境を回復する存在に
    • 【丸屋九兵衛】ヒップホップときよしの交差点
    • 【ANARCHY】初期衝動を落とし込んだ映画
    • 【SEEDA】ラッパーの禁忌な生き様を描く
    • 世界の過激な【保守派リーダー】
    • 【元芸人】が政治の世界に進出するワケ
    • 【アナ雪】ステマ問題ほんとの戦犯
    • 時代を先取りする【新・麻薬王】の肖像
    • 【医療観察法】の知られざる実態

川瀬もえ、エロくてキュートで清らかに。

川瀬もえ、エロくてキュートで清らかに。
    • 小悪魔【川瀬もえ】が脱ぐ

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 表紙/華村あすか「イオンで十分なんです」
    • 【桜田茉央】ミスマガ受賞者の箱入り娘
    • 【AV界】期待の新人セクシー下着
    • 【鈴木ふみ奈】タレントと企業のカンケイ
    • 【増田と鷲見】のラブゲーム
    • 【AI】がインターネットを根底から揺さぶる
    • 【五所純子】「ドラッグ・フェミニズム」
    • 【萱野稔人】"殴り合い"はなぜ人間的なのか
    • 機構影響を受けぬ【雪まつり】
    • 【丸屋九兵衛】キアヌ・リーブスを語る
    • 【町山智浩】「リチャード・ジュエル」FBIとマスコミの欺瞞
    • 【薬物事件】をめぐる刑罰と報道の問題点
    • 小原真史の「写真時評」
    • 笹 公人「念力事報」/ゴーンの大脱出
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ博物館」
    • 稲田豊史/「アナと雪の女王」にモヤる理由
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 大手ビールメーカー出身者が【ブルーパブ】を開業
    • 更科修一郎/幽霊、闘争で情念を語る少年マンガ。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』