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連載
大石始のマツリ・フューチャリズム【33】

盆踊りを伝えることでつなぐ人の営み――映画『盆唄』に見るたくましさ

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――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!

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『盆唄』は2月15日(金)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー。映画の舞台となっている福島県では、フォーラム福島、まちポレいわきでも同時公開される。写真は横山久勝氏。(写真/(C)2018テレコムスタッフ)

 試写会であそこまで泣いたのは初めてかもしれない。少なくとも筆者にとって今年の年間ベスト候補だ。それは、『ナビィの恋』(99年)でも知られる中江裕司監督の最新ドキュメンタリー映画『盆唄』。今回は盆踊りの過去と未来を照らし出す、この一大傑作を取り上げてみたい。

 本作において中心的役割を担うのは、東日本大震災によって町内のほぼ全域が帰還困難区域になった、福島県浜通り中部・双葉町の盆踊り団体だ。離散を余儀なくされているこの団体の再生が本作の軸となり、団体のリーダーでありカリスマ的な太鼓奏者である横山久勝さんが主人公を務める。

 横山さん率いる盆踊り団体は、盆踊りの再開に加え、震災以降伝統が途絶えつつある故郷の盆踊り唄「双葉盆唄」を後世へと伝えることを重要なミッションとしている。彼らが向かうのは、福島からの移民が数多く住むハワイ。実はハワイは日系人を中心に盆踊りが盛んに行われている土地で、福島にルーツを持つ「フクシマオンド」という盆踊り唄も伝えられている。横山さんたち被災地の盆踊り団体は、「双葉盆唄」伝承のバトンを現地の人たちに託すことなる――。

 こう書くと、ありがちな国際文化交流をテーマとした作品という印象を持たれるかもしれない。だが、中江監督のカメラは、被災地の住民やハワイの日系人だけでなく、200年以上前に双葉町を含む相馬地域へと集団移住してきた北陸の浄土真宗門徒たちの側へも向けられる。本作は時代も場所も飛び越えながら、そうした「帰れなくなった人々」の人生と足跡を追いかけていく。

 中江監督自身は京都で生まれ、「盆踊りに対しては古くさいイメージがあって、あまり関心はなかった」と話す。そのため、本作のアソシエイト・プロデューサーを務める写真家の岩根愛氏から本作の企画を持ちかけられた際も、「正直、どうやって撮っていいかわからなかった」と語った中江監督が語る。

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