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町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第134回

『運び屋』天才園芸家の運び屋と巨匠・イーストウッドの罪滅ぼし、そして懺悔

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『運び屋』

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天才園芸家として名を馳せたアール・ストーンは、家庭よりも仕事一筋に生きてきた。だが、90歳になった今、ビジネスは失敗し、自宅も差し押さえられている。そんな彼に目をつけた麻薬カルテルは、「車の運転だけすればよい」と、ストーンに仕事を持ちかけた。だが、それはコカインの運び屋だった……。監督兼主演作品としては10年ぶりにメガホンを取った、巨匠イーストウッドの最新作。
監督・主演:クリント・イーストウッド、出演:ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーンほか。3月8日、全国公開。

 2011年10月、デトロイトに向かうフリーウェイでDEA(連邦麻薬取締局)のジェフ・ムーアは黒いリンカーンのSUVを検挙した。

 それはDEAが追い続けていたコカインの運び屋だった。リンカーンに積まれていたコカインは100キロ、末端価格3億円にもなる量だ。驚くべきことに、その運び屋レオ・シャープはなんの前科もない87歳の老人だった……。

 その実話を基にした映画『運び屋』は、米寿を迎えたクリント・イーストウッド40本目の監督作。彼が久々に自ら主演し、シャープをモデルにした老人を演じている。

 シャープ(映画の役名はアール)の本職は園芸家。デイリリーという百合の新種を生み出し、品評会で数々の賞に輝く、その道では有名人だった。父ブッシュ大統領の時代にホワイトハウスに招かれて庭に花を植えたこともある。

 だが、2000年代に入って栽培の仕事は赤字になり、メキシコ系の従業員に誘われて、悪名高き麻薬王ホアキン・グスマン、またの名をエル・チャポ率いるシナロア・カルテルに雇われ、コカインの運び屋になった。

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