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町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第132回

『ボーイ・イレイスド』聖書原理主義者はゲイの息子と神のどちらを選ぶのか?

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『ボーイ・イレイスド』

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聖書原理主義者が多数住むバイブル・ベルトのテネシー州メンフィス。主人公のジャレッドは牧師の父親の下で聖書教育を受けていたが、大学入学を機に、同性愛者であることに気づく。だが、聖書で同性愛は禁じられており、ジャレットはゲイの矯正施設に参加するが……。
監督:ジョエル・エドガートン、出演:ルーカス・ヘッジス、ラッセル・クロウ、ニコール・キッドマンほか。日本公開未定。

 ジャレッド・イーモンス(ルーカス・ヘッジス)は、テネシー州メンフィス生まれの19歳。そこはバイブル・ベルト、聖書原理主義者が多く住む地域で、ジャレッドの父マーシャル(ラッセル・クロウ)も自動車のセールスマンをしながら、バプティストの牧師になった。

 ジャレッドは大学で、寮のルームメイトの男性と性的関係を持った。同性愛は聖書で禁じられていた。悩んだ末にジャレッドは、自分が同性愛者だと両親に告白した。

「どうしてか、わからない。ごめんなさい」

「父さんは、お前が幸福に生きることをなによりも望んでいる。しかし、神は男と女で子どもを産むように作ったと私は信じる。それに反する者と同じ屋根の下に暮らすことはできない」

 父マーシャルは、同僚の牧師たちの勧めで、彼をラブ・イン・アクションの合宿に参加させた。ゲイ・コンバージョン(改宗)・セラピーと呼ばれる、ゲイの矯正キャンプである。アメリカでこのセラピーを体験した者は70万人に及ぶという。

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