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町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第131回

『ブラック・クランズマン』アメリカ・ファーストを謳うのは大統領か黒人のKKK潜入者か

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『ブラック・クランズマン』

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コロラドスプリングスの黒人警察官ロン・ストールワースは、白人至上主義の秘密結社KKK(クー・クラックス・クラン)のメンバー募集広告を見て、興味本位から応募することに。白人を装った彼の元には、採用通知が届き、黒人として初めてKKKのメンバーとして団体に潜入することになったが……。監督:スパイク・リー、出演ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライバーほか。日本公開未定。

『ドゥ・ザ・ライト・シング』『マルコムX』などアフリカ系アメリカ人の立場から過激なメッセージを映画に込めてきたスパイク・リー監督の新作『ブラック・クランズマン』(原題:BlacKkKlansman)は、白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)に入会した黒人の実話。

 実は1966年に『ザ・ブラック・クランズマン』という題名の映画はある。それはKKKに妹を殺された黒人青年が肌の色の薄さを利用してKKKに潜入して復讐を果たすという話。肌の白い黒人はいくらでもいる。現在、アメリカの黒人の3割が白人との混血で(そのほとんどが奴隷主に犯された)、ワンドロップ・ルールといって、南部では、黒人の血が一滴でも混じっていれば黒人として差別されたからだ。

 だが、今回の『ブラック・クランズマン』はちょっと違う。79年、コロラドスプリングスの刑事だったロン・ストールワースの回顧録が原作。つまり実話。彼は新聞広告でKKKの募集広告を見て応募した。面接には白人の同僚刑事が代わりに行って、会員証を取得した。

 ストールワースがKKK潜入を決めたのは、上司から黒人過激派の動きをチェックしろと命じられて、黒人自警団ブラック・パンサーの指導者ストークリー・カーマイケルの演説を聞いたから。「権力をすべての人民に!」その日からストールワースは誇らしげにアフロヘアを伸ばすようになる。

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