サイゾーpremium  > 特集  > 本・マンガ  > 【ナチス描写】の海外規制事情

日本のマンガやアニメは世界各国に輸出されているが、国によっては法律や慣習に基づいて、一部表現に規制がかけられることもある。それは性的表現、喫煙、残虐描写などさまざまあるが、あくまでコマの一部。それでは、世界最大のタブーのひとつ“ナチス”の場合はどうなるのだろうか?

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1996年に翻訳された米国版『アドルフに告ぐ』。なんか怖い。

「クールジャパン」という名のもと、世界中に発信されている日本のマンガだが、暴力的なポルノ表現が国連に問題視されるなど、相変わらず海外から批判の声もある。そのため、最近は日本側も海外に出版されることを考慮して作品を制作しているが、それでも輸出されると海外では「マンガは子ども向け」という認識がまだまだ根強いため、今度は喫煙シーンが飴を舐める描写に変わり、ミニスカートの丈は描き足される。その国の法律や慣習に通じないものは、現地の出版社の判断で修正されてしまう場合もあるのだ。

 それでは、パンチラや暴力描写が修正されるのはともかくとして、歴史上のタブーに触れている場合はどうなるのか。そこで本稿で取り上げるのが“ナチス”だ。

 ミュージシャンがナチス親衛隊を彷彿とさせる衣装を着用したり、雑誌で「ホロコーストはなかった」という旨の記事を掲載すれば、ユダヤ人協会のサイモン・ウィーゼンタール・センターの抗議を受け、結果、公式に謝罪し、雑誌に至っては廃刊に追い込まれたように、ナチスを扱うというのはセンシティブ問題であることは、周知の通りだろう。

 しかし、マンガ大国ニッポンはこれまで、ナチスを何度もマンガに登場させてきた。80年代に黄金時代を迎えていた「週刊少年ジャンプ」の人気マンガ『キン肉マン』『ジョジョの奇妙な冒険』『リングにかけろ』(いずれも集英社)では、露骨にナチスの軍人をキャラクターとして描き、どれも最終的には味方になる展開だ。

 いくら日本でそのキャラクターが人気になろうとも、それが国外に出れば問題になる。同じく80年代、今のように日本のアニメが人気を博し、『ドラゴンボール』や『聖闘士星矢』などが放送されていたフランスでは、ある日を境に日本のアニメはテレビで見れなくなったという。

 その原因は『キン肉マン』。当時の状況をフランス人学者のトリスタン・ブルネ氏は自身の著書『水曜日のアニメが待ち遠しい:フランス人から見た日本サブカルチャーの魅力を解き明かす』(誠文堂新光社)で次のように書いている。

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令和時代の(新)タブー

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