サイゾーpremium  > 特集2  > 悪法の研究――正義と法の歴史学【3】/【悪法】誕生のカラクリ

――法の解釈はともかく、今現在も法律は生み出され、また改正が審議されている。ここでは、そうした法律の制作に携わってきたおふた方に話を聞き、法律制定の裏方側から、なぜ“悪法”が生み出されてしまうのかその理由を探ってみた。果たして悪いのは、政治家か? 官僚か? それとも国民自身なのか……?

 現在、国会を賑わせている共謀罪(テロ等準備罪)に対し、「悪法」の大合唱が鳴りやまない。

 だが、厚生労働省による受動喫煙防止対策の新法案について、自民党の片山さつき議員が「全国の食べ物屋さんの経営が成り立たなくなる法律は、悪法」(17年2月9日 自民党厚生労働部会)と語るなど、さまざまな法律・法案が「悪法」のそしりを受けているようだ。

 なぜ「悪法」と呼ばれる法律が生み出されてしまうのか? 本稿では、そのメカニズムに焦点を当ててみよう。

健康増進法は少数派を無視した悪法?

変化する時代に法律がついていけないジレンマ――法制定には為政者の都合が優先される?少数派を不安に陥れる悪法誕生のカラクリの画像1
AIやロボットなどがインフラ化した将来の法律はどうなる!?

 そもそも「悪法」には明確な定義はなく、あくまでも個人の主観的な判断でその言葉が使われる。だが、議会で審議された後に制定される以上、万人にとっての悪法は存在しない。つまり為政者や官僚、財界など、一部の都合によって制定された法律が「悪法」と呼ばれてしまうようだ。

 衆議院法制局で15年間、法律立案に携わり、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術』(ダイヤモンド社)などの著書がある吉田利宏氏は、「日本では、立法のシステムが整えられているため、決定的な意味での悪法は出ない仕組みになっています」と語る。とはいえ、「悪法」そのものが存在しないわけではない。吉田氏は、「『国民のためにならない要素がある法律』を、悪法と規定すれば、悪法だらけといえるでしょう」と指摘する。

「法律を作る側にいる官僚は、多額の予算を使えるなど自分たちに都合のいい要件を法律に盛り込んでしまいがち。そのため、すべての国民の方を向かない、省益優先の法律が生まれやすくなってしまうんです。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2020年2月号

新しいニッポンのタブー

新しいニッポンのタブー
    • 暴力団だけじゃない【反社】の定義
    • 【山口組分裂】報道の最前線
    • 【嵐】休止後の芸能界にタブーはあるか?
    • 本当の【氷川きよし】論
    • 【社会学者】きーちゃんを苦しめる疑惑フォーマット
    • 【湯山玲子】ミサンドリー時代に合った戦略
    • 【音楽学者】芸能の性別越境を回復する存在に
    • 【丸屋九兵衛】ヒップホップときよしの交差点
    • 【ANARCHY】初期衝動を落とし込んだ映画
    • 【SEEDA】ラッパーの禁忌な生き様を描く
    • 世界の過激な【保守派リーダー】
    • 【元芸人】が政治の世界に進出するワケ
    • 【アナ雪】ステマ問題ほんとの戦犯
    • 時代を先取りする【新・麻薬王】の肖像
    • 【医療観察法】の知られざる実態

川瀬もえ、エロくてキュートで清らかに。

川瀬もえ、エロくてキュートで清らかに。
    • 小悪魔【川瀬もえ】が脱ぐ

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 表紙/華村あすか「イオンで十分なんです」
    • 【桜田茉央】ミスマガ受賞者の箱入り娘
    • 【AV界】期待の新人セクシー下着
    • 【鈴木ふみ奈】タレントと企業のカンケイ
    • 【増田と鷲見】のラブゲーム
    • 【AI】がインターネットを根底から揺さぶる
    • 【五所純子】「ドラッグ・フェミニズム」
    • 【萱野稔人】"殴り合い"はなぜ人間的なのか
    • 機構影響を受けぬ【雪まつり】
    • 【丸屋九兵衛】キアヌ・リーブスを語る
    • 【町山智浩】「リチャード・ジュエル」FBIとマスコミの欺瞞
    • 【薬物事件】をめぐる刑罰と報道の問題点
    • 小原真史の「写真時評」
    • 笹 公人「念力事報」/ゴーンの大脱出
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ博物館」
    • 稲田豊史/「アナと雪の女王」にモヤる理由
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 大手ビールメーカー出身者が【ブルーパブ】を開業
    • 更科修一郎/幽霊、闘争で情念を語る少年マンガ。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』