サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > 【商業ラップ】の歴史と功罪

――1999年、ドラゴンアッシュ「Grateful Days」のヒットで、「DA.YO.NE」や「今夜はブギーバック」を上回るブームが再来した日本語ラップシーン。それを機に続々とラッパーたちがメジャーデビューを果たすことになったが、そこに待ち構えていたのはセルアウトという闇だった。

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(絵/都築 潤)

 かつては、ポップカルチャーの最前線で世界に揺るぎない影響力を持つUSのヒップホップ事情をよそに、日本では「チェケラッチョ」の文言に始まり、スクラッチをする仕草や「親に感謝ばかりしてるダサい音楽」などという偏ったイメージで語られることも多かったヒップホップ。

 しかし、2010年代も半ばを過ぎ、それらをご破算にする勢いでラップを武器とするアーティストとファン双方の多様化・細分化が顕著に現れだした。加えて昨今では、『高校生RAP選手権』(BSスカパー!)と、それを追う形で放送中の『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)が火をつけたMCバトル人気も手伝い、新たなブームの兆しが見えてきている。そんな多様化と細分化、そして活性化を見た今、かつてコアな日本語ラップシーンが戦わせてきた“セルアウト”をめぐる論議や争いは、急速に過去の小さな村社会の話になった感がある。本稿では、日本のヒップホップにおけるセルアウトの歴史をたどりながら、その功罪を探っていきたい。

 〈セルアウト〉は〈売り切る〉の意味から転じて、アーティストが“売れ線”に走ること、商業的な成功のためにスタイルを変えることに加え、ポップなスタイルを持つアーティストすらも揶揄する言葉として、ヒップホップの世界で定着した。

 さらに、当時のコアな日本語ラップシーンの底流には、メジャーのレコード会社が広めたポップなスタイルは当然のこと、メジャーと契約すること自体をセルアウトと嫌悪する向きもあり、特に「現場=クラブ(ライブ)」での活動の裏付けがないアーティストには厳しかった時代。「90年代後期から10年に入る手前までは、ラップが一般層にまで根付くことがなかったので、“これがヒップホップだと思われたら困る”という思想からセルアウト=ディスの対象になった」と語るのは、レコード会社スタッフのA氏だ。話はさらに続く。

「m-floがエイベックスからメジャーデビューを飾ってヒットを放った00年以降、サビは“歌”のヒップホップが圧倒的に増加しました。それをハードなヒップホップMCをはじめ、コアなリスナーたちが毛嫌いする風潮が蔓延したように思います。

 その思いとは裏腹に、SOUL'd OUT(03年デビュー)やファンキーモンキーベイビーズ(04年デビュー)など、メロディアスなラップを武器とし、クラブで見かけぬアーティストが続々とヒットチャートを席巻しましたが、むしろこのレベルまでいくとハードなMCたちは見向きもしなかった」

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